「これから僕、ミーティングだからちょっといってくるね?」
「………」
何も反応しない美々。赤い痕が首筋を飾っている、ふと白蘭は面白い事を思い付き美々の耳元で甘く低い声で囁く。
「綱吉君はね、僕が銃殺しちゃったんだ」
「!そんな…っ、」
んじゃ、いってきまーす。楽しそうに笑いながらひらひら手を振り部屋を出る我が兄にこんなに殺意を覚えたのは初めてだった。首筋に残る赤を引っ掻く。なんで…、沢田さん…っ。シーツにポタリと大粒の涙と血が染みてく。
「ここから逃げたいですか?」
「!…っ、なに言ってるの………レオ君」
いつの間にかレオ君がすぐ傍に立っていた。クフフ、と奇妙な笑い方、いつものオドオド感がない。右目も赤い。
「…綺麗な、オッドアイ」
「………クハハ、不思議な人ですね」
霧がかってレオ君の姿が変わる。……誰?あ、房がついてる。
「僕は六道骸です、少々癪ですがボンゴレの霧の守護者です」
「さ、沢田さんの仲間ですね…!」
少し困ったように笑いながら彼はご飯を用意してくれていた。(どうやら監視カメラには細工がしてあるらしく、レオ君の姿にしか見えないそうだ。)ありがたくご飯を口にする。うまっ。
「貴女をここから脱出させます」
「!そんな事…出来るんですか?」
「まだ、時間がかかりますが…美々にはおそらく大空の死ぬ気の炎が流れています……白蘭と同じく、」
それを利用して脱出するそうだ。詳しく聞くと死ぬ気の炎には7種類あって、中でも大空は特別らしい。兄と同じなのは複雑だけど、でも逃げられるのなら…。それから匣やリング、と呼ばれる武器を使ってここを抜け出し空港から日本へと移動すると教えてくれた。そろそろ白蘭兄さんが帰ってくる頃なので細かい段取りはまた今度、という事になりレオ君に扮した六道さん(「骸と呼んで下さい」と言われた)は帰っていった。私はさっき感じた希望に胸を膨らませた。
「……また、逃げられる」
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