※卑猥表現あり



これは私の自己満足だ。




夕暮れの校舎に、野球部のボールを打つ音、バスケ部の叫び声、吹奏楽のチューニング音がかすかに聞こえる。私はただ、目の前の出来事を他人事の様にみていた。


赤。


鮮やかな色をした舌が。まるで彼の口から飛び出て生きているかのようにうごめく。チロリ、太股を這うなんともいえない感覚に自分の口から熱い吐息が零れる。

それを彼は見逃さない。綺麗な、それでも濁った瞳を私に向けて「…欲しくなった?」と悪戯っ子のように微笑むのだ。いつもの儚さは何処へやら、今は肉食動物のような勢いだ。私はただ、他人事のように頷いた。教室、という場所がさらにこの行為に熱を持たせる。


私が座っていた机から私を降ろす、足はもうべたべた。足を降ろした途端にぐちゅりと教室に卑猥な音が響いた。更に笑みを深める彼。スラリとした足が私の両足を割って下着のところに密着させる。動かされる足に私は翻弄させられる。口はだらしなく開き、喘ぎだけがだだ漏れ。


「なんて君は淫乱なんだろうね?」


ちなみに私たちは付き合ってなどはいない。彼には彼女が居るし、私にも仁王、という彼氏がいる。

なぜこんなふうになったのか、私にも分からないし、彼も分からないだろう。ただ、目の前の欲にどうしようもなくしがみついているのだ。

はだけている私たち、9月の少し涼しくなった風が体を冷やしてくれる。それでも熱い。ラストに近付く、私たちはそこでいつも終わる。


「ほら、大丈夫かい?」


「………えぇ」


パンツが見えたままの私、めくれる私のスカートを直し、自分のネクタイを締め直す姿に思わず見惚れてしまう。いつも。その表情を彼はいつも、恍惚としてて、そそられちゃうよと笑ってキスをする。


綺麗になった教室、静かになった校舎、赤から紫を通り越して黒くなる景色。かばんから携帯を取り出して電話をするときも、手を繋ぎ、彼の腕に閉じ込められたまま。


「あ、もしもし雅治?……え、幸村?嗚呼さっき帰ったよ」


私は微笑みながら神の子にキスをした。さっきのお返しに、頬をべろりと嘗めて。



太股を流れる偽欲

利害一致した憐れな少年少女






元拍手文でした。
2話もあります。