「…綱吉、」



くしゅんとくしゃみをしながらピタリと身体を擦り寄せる美々。柄にもなく思わず顔が赤くなってしまった。


愛しい彼女はコートをしっかり着込み、耳当てまでして防寒対策をばっちりしていた。触りづらくて少し不満だけど、他の男に美々を見られないならまだいいかと絶賛抑え込み中である。


「寒いならこっちにおいでよ」


左手をそっと掴み自分のポケットの中につっこませる。寒さで赤くなった鼻をぐすりと鳴らしながら美々はさらに身体を密着させてきた。う、わ…なにこの甘いいい香り…っ。



「……まだ、かなあ?」


「もうすぐ、だよ」


超直感。こんな時に使うなとリボーンには言われそうだが、使えるものは最大限に使わないと、ね。そう山本と獄寺君に話した時になぜか2人の顔が青かった気がする。



一筋、光が零れ落ちた。



「あっ!」



美々は届くはずないのは分かりきっているのに、ぴょこぴょこ跳び跳ねて小さな手で空を駆ける星を掴もうとしている。



「………なんか、さ」


「?」



「届かないって知ってるけど、遠いって知ってるけど、掴めそうな気がするんだよね」

あ、まただ。駆け抜ける光の筋を目で追いながら美々は笑った。つられて俺も笑った。マフィアの世界で、こんな笑みが出来るのは彼女のお陰なのかもしれない。弱い俺は、拳銃すら吐き気がする程嫌だった。今ではかなり使っているけど。



俺の手は、汚れている。赤黒く、汚く。…プリーモにぶっこわすと言ってたのに、そんなボンゴレに深く囚われていた。それを救ってくれたのは紛れも無い、彼女のおかげだ。





「美々ー」


「んー、なに?」




結婚、しない?







流れ星への願いは"幸せ"を。