元帥は意地悪だ。私にたくさんちょっかいをかけてくるし、馬鹿馬鹿言ってくるし、無理やりあの量の食事に付き合わされるし…。前までは本当にいい人だった。かっこいいし、紳士だし、優しいし…。でも、でも!
「好きです、美々」
「ごめんなさい」
あの次の日から恐怖は始まった。
「ねぇ美々、ケーキ作ってよ」
「あ、れン元帥…いくつ目ですか、そのケーキ」
「おやつになら5ホールくらいかな?ほら作って下さい、僕の為に愛情たっぷりに」
「待って下さい私たち付き合ってません」
本当にこの人が若干15歳の若さで臨界者になったアレン・ウォーカーなのか疑ってしまう。きらきらと光に白を反射させる髪の毛の先をくるくるしながらジト目で私を見つめてきた。……嫌な予感。
「ふーんそうですか…そっかー美々は師匠の僕に逆らうんですね」
「そ、そそソそんなわけ、ないさ!」
「赤毛の真似で誤魔化さないで下さい」
こ、こわい…黒い!後ずさりしているとポン、と誰かとぶつかった。そのまま肩を抱かれる。煙草とお酒の匂い…、ま、まさか…。
「おい馬鹿弟子、綺麗な女ならもっと優しくしろ、逃げられるぞ」
「黙って下さい師匠、僕がこんな性格なのは貴方の借金のせいですよ」
やっぱり、アレン元帥の師匠のクロス元帥…。……ややこしい、奇妙な師弟関係だな、おい。現実逃避の私を、アレン元帥が放っておいてくれるわけもなく、何かが頭に物凄いスピードでぶつかってきた。……ティムキャンピー、だった。
「………」
「ほら、任務いけよ」
そのゴーレムたしか映像を記録できるタイプだった気が…、嫌な予感をひしひしと感じたけどここでぐだぐだしたら更にヤバくなりそうと察知した私は任務へと赴くことにした。
「素直じゃねぇな、馬鹿弟子」
「じゃあ賭けてみませんか?ティムの記録に僕が入れた「好きだよ美々」を聞くか聞かないか」
「……お前、」
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