骸さん骸さん、聞こえてますか。あ、この場合じゃ読んでますか、ですね。お久しぶりです、………元気、なんでしょうか。私は今、並盛町でなんとか暮らしています。貴方のオッドアイを見なくなってから数ヵ月が経ちました。復讐者の牢獄は寒くないですか、ご飯は美味しいですか。私はやっと砂味の食事から抜け出せました。体重も減りました、えへへ。京子ちゃん、――お友達に言ったら真っ青な顔で次の日にケーキをどっさり届けにきてくれました。沢田くんも貴方と私を気にしています。現に、よく私の教室をチラリと見てくれています。お節介というか、優しいというか。



………骸さん骸さん、やっぱり寂しいんです。貴方と居た時間より離れていた時間の方が長いんですよ。それなのに、恋しいんです。落ち着いた雰囲気も、ふざけた笑い方や南国果実を思わせる房も、なにもかも今では愛しいんです。逢いたいんです。我が侭なのは分かっています、でも骸さんの面影を捜してしまうんです。



本当に私は弱いんです。貴方の隣に居られるような器も持っていません、強いわけでも、お金持ちでも、何かが秀でてるわけでもないんです。それでも、好きなんです。




書きかけのラブレターの宛名は空欄




此処まで書いてから私は破り捨ててしまった。読んで欲しい人は、ここにいないから。私ってば本当に好きなんだな、骸さんのこと。依存、って言葉がピッタリだな…。ほら、思いすぎて空耳まで聞こえてきた。―――クフフ。