仕事が終わってコンビニで色々買ってから家に帰るとゴロンとねっころがった彼女が居た。テレビで流れているのは昔流行ったドラマの再放送。思わず呆れて彼女の顔を見てしまった。ふと視線がようやく俺を捉えた。おかえり、と呟かれる。
「それ、楽しいのかい?」
「んーでも主役の子可愛いじゃん」
「世間一般的には、そう言われてるよね。」
ふとその子の隣にいるのがシズちゃんの弟だという事に気付いた。……面白くないなあ。リモコンでチャンネルを変えると「あー」と情けない声を出し、それから勝手に俺の買ってきた缶チューハイをゴクゴク呑んでいた。
「いいよねー可愛い、ってか美人だし…」
臨也もそういう娘が好きでしょ?そう問いかけてやけくそにグイッとチューハイを呑みほした彼女に俺は思わずにんまりしてしまった。この人間は本人も気付かないうちに"可愛い"、"美人"という不特定大多数の人間に妬いている。
「悪いけど、興味ない」
そう答えると、ガバッと起きて鋭い目付きでウソつき、と非難された。思わず笑ってしまった。
「なんでそう言いきれるんだい?そんなに俺のこと、信用できないかなぁ…傷付くなハハハッ」
「……」
「たしかに可愛い娘はいいよねぇ」
「っ、ほらやっぱ――」
「でもその人たちの考えることは、売れたいモテたい金持ちになりたい有名になりたい…そんなのつまらないだろ、屑だよくず」
どんなに美人でも可愛くても、否そうじゃなくても、俺を惑わせるのは君ただ1人なんだよ。可愛い俺のカノジョさん?そう言うと彼女はようやく俺の言ったことを理解したのか、嬉しそうに腕を俺の首に伸ばして抱きついてきた。
嗚呼なんて人間は面白いんだろうか。
a word様に提出。素敵企画に参加させていただきありがとうございました!
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