「正臣、黄巾族にまた戻ってきてよ」


「だーかーらー!美々みたいな美人さんにお願いされたらなんでも叶えてあげる正臣くんだけどっ、これだけは無理なんだよー」


「……貴方以外にあのカラーギャングを纏めることはできないわ」



私が迫っても、彼は首を横にふるだけだった。あの抗争から彼は変わった。折原臨也に頼んでブルーなんとか、とドンパッチした直後から…。ただ紀田正臣という男にまとわりつく女をほんの少し脅す程度でよかったの。狙い通りに彼女は怪我をした。でも正臣は自分の責任だと黄巾族を脱退した。


私は彼が好き。だからチームにも入った。あの女が憎かった。だから、だから――――


ただ、君が好きだっただけなのに


「私、わ、わたし…っ、正臣…っ」


「そんだけ?なら俺はびゅーてぃーな女の子を15人ナンパするというノルマを達成すべくもう行くなーバイバイ美々ーっ」


待って、そう言う前にもう人混みの中に紛れてしまった正臣。金色の髪はすぐに分からなくなってしまった。……はは、もう駄目みたい。私の声は、届かない。正臣は彼女を求めているのだから。責任感から彼女に会えず、街でいつも面影を探してしまう。彼に愛されれる人が、私だったら良かったのに。何十回目のそのセリフを私は飲み込んだ。手首の黄色いバンダナを外して私は、泣いた。