「は?ケーキの作り方を教えろ…めんどくせぇ」 「そんなこと言わないでよユーリ!ギルドは1人のためにでしょ!?」 「そんな欲望のために俺をいちいち借り出そうとすんな」
鬱陶しいとばかりにしっしっと振り払われた。美々はユーリの腰にしがみつきお願いと懇願するも面倒くさいとばかりに引っぱがされた。
「お願いっ!どーしても!今知りたいの!」 「…なんでだよ」
無意識に声が低くなってしまった。俺がもし教えたとして、美々が作ったそのケーキは誰が食うんだ?きっとあいつが想ってる奴にだろう。…なんで、好きな奴の恋路を手助けしなきゃなんねーんだよ。
「、…じゃあいい。自分で頑張る…」
眉を下げて泣きそうな顔をしながらトボトボ立ち去ろうとする美々を見てユーリは溜め息をついた。やっぱ、見捨てられないな…こんなにも俺はこいつに入れ込んでるのか。
「仕方ねぇな…ほら、行くぞ」 「!ゆ、ユーリ…!」
華やかに笑顔を浮かべた美々にユーリはやはり惚れてしまっているのだと実感した。
***
「で、できた…!」 「美々にしては上出来なんじゃねーの」 「あああありがとうユーリ…!これから仕上げにデコレーションしなくちゃ!」
語尾に音符がつくくらい上機嫌でチョコレートの飾りをケーキの上に飾り付ける美々にユーリは小さく笑みを浮かべてキッチンを後にした。もうやることはない、あとはあいつと、相手の問題だ。ボスッとベッドにこしかけた。先にベッドで寝ていたラピードが目だけこちらに寄越した。自室に美々を初めて連れてきた理由が他の男の為なんて…最悪だ。
「ったく…」 「ユーリ?」 「!?…なんだ美々か」 「…?それより見て!」
満面の笑みでほら!と持ってきたケーキを見せつけられた。苺にクリーム、可愛らしい模様や飾りのついたケーキ。真ん中に置いてあるプレートには「HAPPY BIRTHDAY yu-ri」と書いて…え?
「本人に頼むなんて可笑しい話だけど…パーティーの中で1番上手いんだもの、ユーリのケーキ」 「美々…」
恥ずかしそうに笑む美々を見て思わず抱きしめてしまった。
生クリームに埋もれる
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