美々はため息をつきながら自分の膝に頭を乗せて寝ているヒュプノスの金色の髪を撫でてやった。…流石眠りの神、睡眠は大切なようだ。天使ガブリエルなんて大層な地位を突然突き付けられてエリシオンに無理やり連れてこられた美々は、監禁だの人違いだのと数日間は暴れまくった。いつの間にか身についていた小宇宙を爆発させてエリシオンに甚大な被害を与えてしまう、ニンフが怯えて隠れてしまったなどなどしでかした。それにタナトスが機嫌を悪くしてタルタロスを荒らしてしまいヒュプノスは美々のことやらタナトスのこと、ニンフなどに気を配り疲れたようだ。美々にとってはお前が私を此処に連れてこなければこんなことにはならなかっただろバーカ!と掌圧でヒュプノスを吹き飛ばしたのは記憶に新しい。
「…理不尽すぎる」
豪華な寝台の上でヒュプノスを起こさないように身体を動かす。よいしょ、と立ち上がり部屋の中を見渡す。ちゃんとこの部屋を見ていなかったが、品のある家具ばかりで埋め尽くされていた。さすが神様…、と飾り棚にあるティーカップをまじまじと見つめていると後ろから凄まじい視線を感じた。おそるおそる振り返ると寝転がったままこちらを睨むように見つめてくるヒュプノスと目が合った。ちょいちょい、と指で呼ばれる。ゆっくりとベッドの傍に近寄るとヒュプノスは低い声でボソリと何か呟いた。え?と聞き直しながらベッドに乗り近寄る。
「…勝手に私から離れるな」 「飽きたんです、ヒュプノスさんがずっと起きないから…」 「呼び捨てにしろ、お前にさん付けなんてよそよそしい」 「私、ガブリエル本人じゃないから」
でもこの小宇宙が、魂がもう自分はガブリエルの意思を引き継いだのは明白だった。そして、この想いも引き継がれていた。
「何百年越しなのよ、この感情…」 「何か言ったか?」 「なっなにも!」
こんな気持ち、簡単には言ってあげないし!
愛と呼ぶには重くて
元拍手でした!
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