「いっ、ひぎゃあぁああああぁあぁああぁぁあ!!!!!」
まだ寒いギリシア聖域の早朝、白羊宮に絶叫が響いた。寝室にいたムウと貴鬼は何事かとダイニングへと走った。
「どうしたのです美々!」 「美々お姉ちゃん大丈夫!?」
「こっ、来ないで!!」
ピタリと足を止める、…じゃあなんで心配させるような叫び声をあげたんだ?ムウは顔だけをダイニングに覗かせた。どうやら食卓に朝ごはんを並べる途中だったようだ。サラダの入ったボウルが下に落ち野菜が散乱している。ペタンと座り込み頭を押さえ付けている美々。
「大丈夫ですか美々」 「き、ちゃダメムウ…!」
振り返った美々は涙目であった。
「…何が起こったのですか?貴鬼も驚いてますよ」 「………じ、実は…」 「あれっ、美々お姉ちゃんソレ…」
ムウの後ろからひょっこり顔を覗かせた貴鬼が下を指差した。3人の視線が指差した先に集まる。………しっぽ?
「うそっ、こっちも?!」 「こっちも?………あ」
ムウは美々の押さえ付けていた場所を凝視した。………耳、猫の。品種はロシアンブルーのようだ。彼女の髪と同色でよく似合う……ってハァ?!
「なんで…っ!」 「…引っ張ったら「痛いから」…でしょうね」
ぺたんと垂れ下がる耳としっぽにムウは心臓がバクバクした。自分にそんな趣向があったとは…。
「お姉ちゃん似合うね!頑張ったかいがあったよ!」 「…え?」 「どういうことですか貴鬼」 「ちょっと実験したら…へへっ、猫耳としっぽのつく薬が出来ちゃったんだ」 「ハッ、まさかあのお菓子か…!」
貴鬼ぃいぃ!!!美々は頭を抱えた。ムウはパシンと貴鬼の頭を叩きながらも内心グッジョブと褒めたたえた。
「あ、もうおいら星矢のとこに行かなきゃ!」 「待ちなさい貴鬼っ!どうすれば戻るのおぉおぉお!?!?」
やけに笑顔の貴鬼は手を振りながら白羊宮を飛び出していった。残された2人はなんともいえない空気になった。耐え切れずムウはソファーに座り込んだ。
「……ムウ、どうしよう」 「…貴鬼のことですから1日で治るようにしてあるでしょう。…それにしても」 「?」
ちょいちょいと手招きすると美々は首を傾げながらも傍に近づいてきた。ぽんぽんとソファーの隣を叩くとちゃんと座ってくれた美々をぐいっと引っ張り膝の上に乗っけた。
「ひゃあ!ちょっとムウ?!」 「…本当に生えてるのですね」
まじまじと見つめちょんちょんと触ってみるとしっぽがピクピクと揺れている。どうやら感覚も通ってるようだ。
「ふ、いや…あっ」 「!!!!!」
喘いでるような声色にムウは胸が高まった。…今のは、ヤバかった。理性が後少しで弾けるところだった。でも触る手は止められない。
「や、やだよムウ…っ、ふあ!」
プチン。
「すいません美々」 「……え?」 「今日は朝ごはん、食べられないです」
首筋に噛み付きながらそっと手を胸へと移動させた。それでもうこれから起こるであろう事がわかり美々の顔は真っ青になった。
「一緒ににゃんにゃん、ですかね」
意地悪そうなムウの笑みに美々は涙が出そうになった。
彼を罠にかけたのは
2/22、つまりにゃんにゃんにゃん!←
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