サヨナラの準備は出来ていた筈だった。でも何かを察知したのか、泣きそうな君の顔を見て僕は言う筈だった言葉を思わず飲み込んでしまった。


「ねぇ、恭弥がイタリアに行っちゃうなんて、嘘だよね?」


「……」


「嘘、だよね?リボーンちゃんが言ってたのは冗談だよね」


「……」


「っ、何とか、言ってよ、恭、弥ぁ…!」


いつも強気の美々の涙、ポタポタと白い肌を伝って僕の学ランに染みができる。そんな事も気にならない、目の前の泣き顔だけしか映らない。


「……ゴメン」


振り返るな、と自分に言い聞かせる。そうしないと君を抱き締めてしまうから。イタリアに行くと決意した気持ちすら無くなるから。仕方なく、草食動物から肉食動物に成り上がった沢田綱吉についていってやると決めた所なのに。


「きょ、恭弥…!」


愛しい人の声が響く。大丈夫、また逢えるから。サヨナラじゃない。またね、だから。僕がもう少し強くなったら君を迎えにこよう。それまで、

サヨナラアリウムを添えて





花言葉:無限の悲しみ