「お帰りなさいボ、ス…ってなんでそんなに酔ってるんですか!?」
「…あー、美々か…」
「あーじゃないです!ほら座って下さい!」

真夜中をとっくに過ぎた頃、仕事がまだ終わらずボンゴレのボスである沢田綱吉の執務室で書類と睨めっこをしていると部屋の主が帰ってきた。…相当な酒のにおいを纏わせて。慌てて駆け寄り身体を支えると珍しくずっしりと寄り掛かってきた。

「ボスはこんなになるまで飲むような人じゃないのに…どうしてですか?」
「ひ、ヒバリさんとお兄さんの飲み比べに…付き合わされて…うっ」

それじゃあ仕方ない…あの人たちは尋常じゃないくらいイケる口だからなー…。溜め息をつくと同時にトロンと瞳が閉じられ、一瞬綱吉の頭がガクッと落ちかけるも美々が身体を支えていたたためなんとか保つことができた。引きずるようにして漸く部屋に備え付けてあるソファにたどり着き座らせ、近くの小さな冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し手渡すと綱吉はぐびぐびと半分を一気に飲んだ。ぷはっ、と飲み干しさっきよりかは顔色も良くなりペットボトルを美々に返す。少し笑みを浮かべて感謝の言葉を告げた。

「まだ仕事、してたの?」
「明日までの書類なんで…」
「…気にしないのに1日くらい。骸やお兄さん、ランボなんて1週間は放ってるよ」
「それはボスが甘やかしすぎです!期日までに出すのは常識!」

急な美々の剣幕にたじろいだ綱吉だったが気を取り直して部屋まで送ろうと進み出た。だが美々は首を縦に振ってくれなかった。どうしてだとむくれるとビシッと人差し指を突き立ててきた。

「酔っ払いは寝る!」
「…(忘れてた)」

思いだしてうぷ、と吐き気が込み上げる。面目ないな俺…女性の前で。しかもその女性が気になってる美々だなんて…最悪だ。

「ボス、たまには休みを取って下さい。息抜きも必要ですよ」

天使のような笑みに綱吉は首を縦に振ることしかできなかった。その貴重な休日は、願わくば美々と過ごしたい誘いたいと悶々と考えながら。