ちちちち、と囀りが聞こえてレグルスは目をうっすらと開けた。まだ日は昇ったばかりらしく眩しすぎる。いつもならこの時間は爆睡していて(女官が起こせないくらい寝起きが悪いので)シジフォスかアルデバランが一発かましてくれるのだが…。そこで隣にある温かさに気付いて漸く思い出した。……そっか、昨日は美々と想いが通じ合った日だったんだ。思い出しただけでレグルスの頬は緩み幸せに浸れた。幼なじみで獅子宮の女官になった美々はシジフォスと同様、レグルスの支えであり戦う理由の1つでもあった。
今まではこの幼なじみという関係を壊したくなく随分と胸を焦がしていたが蟹や蠍に唆された美々が思わず口走った告白のお陰で晴れて恋人になれたのだった。(レグルスは複雑な気持ちだったが、まあ結果的には万々歳なので今度の組み手でこのお返しをしてやろうと思った。)春になったばかりで朝は少し肌寒かった。
「ん…っ、レグルス…?」 「まだ寝てていいよ美々、俺も二度寝するし」 「え…今日は任務…」 「実は久しぶりの休みなんだ!だから美々も休み!」
その言葉を聞いて美々は半分開いていた瞳を閉じゆるりと笑みを象った。シーツに身を縮こませる、…どうやら寒いようだ。レグルスはベッドの周りに散らばる衣服で近くにあった自分のシャツを取ると美々を抱き寄せて着させてやった。擽ったいとばかりに身をよじるが少し小宇宙を行使して着させた。目を閉ざしたままの美々の瞼にキスを落とす。
「ほら、これなら寒くないだろ?」 「んー。ありがとレグ!」
ぶかぶかーレグの匂いで一杯だあ。ふにゃりと笑う美々に眠れる獅子はぴくんと反応した。…か、可愛い!シーツの中に潜りこみ腰に手を回しぎゅーっと抱きしめるレグルス。シャツ以外着ていないからかおずおずと手を伸ばしレグルスの頭を撫でる。
「…レグルス?なんで四つん這いで私の上に…」 「え、…ダメ?」 「だっ、だめ!昨日だって…っ!そんな目をうるうるさせないで!」
期待の眼差しをビシバシと受け美々は逃げ場がないと悟り覚悟を決めた。それでもそのまま食われるわけにはいかない。負けず嫌いの美々のプライドだ。
「レグ…」 「ん?」
にっこり笑う美々。
「美味しくいただいてね?」
思わぬ美々の言葉に顔を真っ赤にさせるレグルスに悪戯が成功したと言わんばかりに美々は得意げに鼻先にキスを贈った。
あまえんぼ
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