ここは天蠍宮―――蠍座(スコーピオン)のミロが守護されている宮です。私は彼の幼なじみ、としてこの宮でお手伝いをしています。主に任務などで忙しいミロの為に食事や洗濯、掃除などをこなしています。
「…たまに思うんだが、美々」 「んー?なに?」 「お前…俺のこと見下してね?」
ソファーに寝そべり女性向けのファッション雑誌を熱心に見てミロを視界に入れない美々に必死に語りかけるミロ。だがその努力は虚しくも美々はそれを全力スルーしていた。
「黄金聖闘士を見下すなんて出来るわけないでしょ」 「だがな、美々…お前の寝そべってるソファーの尻に敷かれているの、俺のTシャツなんだけど」
んーと気のない返事しか返って来ず、がっくりと肩を落とした。……とりあえず自分はシャワーを浴びることにした。俺が出てくるころにはあいつは雑誌を読み終えて話を聞いてくれるだろう。鍛練での汗を流しすっきりしたところで俺はスラックスを穿いて美々の所に戻った。
「なあ、どいてくれるよな?」 「嗚呼ゴメン…うん、いい…よ……っ!」
雑誌から顔を上げた美々の言葉が不自然に尻切れる。頬も赤い。ん?と首を傾げると髪から雫が滴り落ち肌を駆け降りた。……あー、そっか。
「俺の身体に見惚れたのか?」 「っ!、色気ありすぎ!」 「はあ?いつも夜見て「あああああああーーーー!」……」
恥ずかしさからか叫びながら耳を塞ぐ彼女の姿にきゅーんとしてしまう。そして、少しばかり悪戯心がこの蠍に生まれた。ギシ、と軋ませながらソファーに寝転んだままの美々の上に覆いかぶさるように乗る。危機を感じたのか美々は慌ててシャツを引っ張るが狭いソファーでは簡単には取れない。逃げることも出来ない。ぽたり、と髪から雫がまた落ち、美々の頬を濡らす。顔をぐっと近付けると足をばたつかせながら胸板を押し返してきた。…悪あがきか、口の中で呟く。でも大の男、ましてや黄金聖闘士に力で適うはずもない。手をソファーに押し付け抵抗できなくした美々の頬の雫をちゅ、と効果音付きで吸い上げた。ピシリと美々の身体が固まった。
「…」「美々?」 「…っ、ミロの馬鹿馬鹿ばかーーーっ!」
そう叫びながらも首にしがみつき首にぱくりと甘く噛み付く。足もミロの身体に絡み付きぎゅうううと離そうとはしない。滅多に甘えてこない美々にミロはクラクラした。どうやら俺の負けなようだ。身体の位置を変え、降ってきた唇を唇で受け入れながらミロはこの愛おしい彼女を離すまいと思った。
零れる水滴に理性は奪われた
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