自分で言うのもなんだが、俺はかなり歪んでいると思う。でもそれは違うと断言できるし、敢えて言うなら俺が人類を愛すための理由であるからそれを理解しない方が悪い。


「ならちゃんと説明しなきゃ!皆が臨也と同じ考えじゃないんだから」


煩いなあ。分かってるって、そんなことくらい。でも俺は分かってもらおうとか、分かち合おうとか思ってないんだよね。俺だけ、俺自身が理解し、感じ、愛せればいいと思っていたからね。―――そう、過去形だ。


「私も共有したいの」


歪んでいると言われ続けてきて初めて聞いた言葉だった。はじめは柄にもなくぽかんとしてしまったのを覚えている。ははっ、失態だったなあ。シズちゃんにすら、こんな風にされたことないのに。この非力な少女は役に立ちたいと思っている。馬鹿らしい、でも嬉しいと思う自分がいた。


「大丈夫、だよ」


そっと笑みを咲かせる彼女に手を伸ばした。3月の温かい風が春がもうすぐだと告げるように南から吹いてきた。鼻先を擽る花の香り、コバルトを薄めたような晴々とした空。赤い瞳に映るのは、生き生きとした世界。


luz  de  la  esperanza



希望の光を、