3
スカーレットニードルの嵐だった。それを避けながら攻撃するのは中々難しく、逃げに呈している自分に苛々した。向こうもこんな状況が嫌だったのかチッと盛大な舌打ちを漏らした。
「おい!さっきまでの威勢はどこいったんだ…よ!」
「う、るさい…!黙ってカルディア避けられない!」
「避けなくていいんだぜ!そうしたら俺がお前を狩れる!」
「狩られるわけにはいかないから!!」
ヒラリと攻撃をかわし詠唱を始めると遠くから小宇宙が爆発した。パンドラが向かった方角だった。
「…まさか!ゴメンカルディア私先に行きます!」
「ちょっ!…待てよエレナっ!!!」
翼を広げラダマンティスの横をすり抜け神殿ので奥へと急いだ。…嫌な、予感がする。
***
カルディアは追ってこなかった。それはこちらには好都合だった。神殿への入口に近付くと更に海皇、ポセイドンの小宇宙が強まった。そして開いたままの入口の前に倒れている人。
「パンドラ…!」
抱き上げようと思ったが、止めた。私にはやるべきことがある。そのためにはオリハルコンを見つけて破壊しなければならない…。神殿の中に入ると目の前に女がポセイドンの小宇宙に抱かれ眠っていた。
「彼女は…?」
「馬鹿な…!しかし…何故ここに…セラフィナ様!!」
悲痛なデジェルの声が後ろからした。振り返ると傷だらけのデジェルが神殿の中にいる女をただ凝視していた。
「この人…まさか、ブルーグラードの領主の…?」
「ああ…どういういきさつかは知らんがユニティの死んだ今、彼の最愛の姉まで危険にさらすわけにはいかん!今解放致します!」
小宇宙を前に向けようと高めたデジェルの後ろから禍禍しい小宇宙が弾けた。
「それは困るな水瓶座よ!」
身体に珊瑚が巻き付いてきた。それらきつく締め付けてきて痛みが2人を襲ってきた。
「これは…珊瑚か…!?一体…」
「気安くその方に触れることは許さんぞ…この海龍がな」
エレナとデジェルの目の前に見たことない聖衣のようなプロテクターを纏った男が現れた。珊瑚が彼に絡み付き、付き従っているようだった。柱に縛り付けられエレナはただ奴を睨むことしかできなかった。
海龍