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前に白銀の髪を束ねた男が背を向けて立っていた。黄金聖闘士と話をしていてこちらには気付いてない。黄金聖闘士はカルディアとデジェルのようだ。本当に彼らと戦わなくてはいけないのだろうかと思っているとラダマンティスが一瞬で白銀の見知らぬ男…たしかユニティとかいうブルーグラードの領主の息子だったと思う、その胸にめがけて腕を突き刺した。グシャッと嫌な音が神殿に響いた。血飛沫、鉄錆の臭い、全てがユニティの重傷さを物語るに十分だった。

「パンドラ様の危惧された通り現れたな聖闘士ども。瞬時に一掃してくれる…冥界三巨頭の一人、天猛星ワイバーンのラダマンティスがな!!」

「デ…ジェ…ル」

血を吐き出しながら倒れるユニティを信じられないと見つめるデジェルの耳に女の――パンドラの声がした。

「戯れはよせラダマンティス。我らが主でないとはいえここは神である海皇の神殿なのだぞ…汚れた血はこのパンドラも不愉快だ!」

エレナはラダマンティスの後ろから出ることは出来なかった。心の準備なんて、出来るわけない。

「海皇の力を頼るアテナの浅知恵などお見通しよ、海皇にはこのパンドラ直々に話をつける。さあそこをどけ聖闘士ども!」
「パンドラ…ラダマンティス…よくも…ッ!オーロラエクスキューション!!」

怒り心頭なデジェルが凄まじい凍気を放った。前にいた2人は固まってしまった。…仕方ない。

「やったか…!?」
「いいえ、そんなことさせません」
「!!?」
「聖なる翼よ、ここに集いて神の御心を示さん…エンジェル・フェザー!」
「まさか…エレナ?!」

攻撃が二手に別れた。片方は翼竜の咆哮と共に氷を砕き、もう片方はカルディアたちを攻撃した。2つの技の衝撃波がカルディアとデジェルを壁へとぶっ放した。

「涼やかであったぞ水瓶座。ラダマンティス、ガブリエル。私はこのまま海皇の下へ行く。後はまかせた。…ミーノスのような失態、くれぐれも演じるな」
「やっと解き放たれた戦場、どうして失態など犯せましょう…双子神のようにな!」

その言葉に不敵に笑みを浮かべパンドラは先へと進もうとしたが足が踏み出せずにいた。自分の身体を見るとキラキラとした凍気が輪のように自分を拘束していた。

「…これは氷のリング?一体…」
「素通りしようとは余りに不遜だな…まさかあの程度で我々が倒れるとでも!?」
「………ラダマンティス!」

パンドラの一声にラダマンティスが翼を使いリングを破壊した。未だにエレナはラダマンティスの後ろで動けずにいた。

「…そんな腑抜け共では俺がこまる。俺にとっての聖戦は始まったばかりなのだからな!」

パンドラが横を通り過ぎるのをただ見ながらデジェルは小宇宙を燃やした。

「…いいだろう。まずはユニティの仇、討たせてもらう!永久凍土の散りにしてな!!」
「上等オォオ!!!」

2人が戦い始めると同時にエレナは背後からの殺気を感じ飛び上がった。数秒前まで立っていたところに穴が空いていた。…小さいながら威力はある。

「…どうして、カルディア」
「俺の方が聞きたいんだけど。なんで冥界側にいるんだ」
「………」
「裏切ったのか…?」

違う。大きな声で叫びたかったが奏くんを人質に取られてるから無理だ。…そんなこと、言えない。

「…つっまんねえ!」
「え…?」
「お前、なに自分を抑制してるんだよ…。やりてぇ事は何がなんでも貫き通せ!そんな中途半端じゃあ何も守れないぞ!」

ガツンと頭を殴られたようなくらいの衝撃だった。あの、カルディアからこんな風に諭されるなんて思っていなかった。守りたい、助けたい。
私には成すべきことがある。
答えは決まっている。

「それなら…私は、貴方と戦う」
「そうこなくっちゃな」

ペろりと自分の唇を舐め、カルディアは嗤った。



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