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不安を余所にテンマと童虎はお互いの技を繰り出した。私も加勢しようとしたが袖を引っ張られてた。振り返ると奏くんが下を向きながら私の服を掴んでいた。

「…奏くん?」
「あ、ぶないから……っ。逃げようよ、戻ろう元の世界に…!」
「今はそんなこと言っ」
「なんで君が傷付く必要があるんだ!僕らは無関係じゃないか!」
「……」
「話の結末はもう決まってるんだろ!?なら僕らが居なくたってハッピーエンドになるじゃないか!!」

突然怒鳴られた事よりも、奏くんの言葉に衝撃が走った。……たしかに、私たち異端がいても物語はほぼそのまま…そのまま?目を見開いた。話……分からない。そんなはずない!だって、私は漫画持ってて、たくさん読んでたし、最後の結末に………、どう感じてどう思ったんだろう?黙り込む私を無理矢理入口へと引っ張る奏くん、引きずられていることに気付かないくらい深く思考してしまった。ドン!と大きな音がした。振り返るとハーデスと私たちを除く全員が地面にめり込んでいた。…私たちはもう入口の傍だから攻撃を免れたらしい。手を伸ばそうとするも男の人の力に敵わずそのまま部屋を出た。一瞬ハーデスと目が合った。ニコリ、と笑みが張り付いていた。

先に、彼らを始末してからこっちにくるんだ…!

ごめん。シオン童虎テンマユズリハ…!私は生きたい…!!

「………分かった、行こう奏くん!」
「!とりあえず外にでっ!!!」

何がなんだか分からなかった。吹き飛ばされる身体、意識を失ってる奏くん、倒れた自分の身体を踏み付けてくる誰か。

「逃げるのか、愚かな大天使よ」

気品溢れる声がした。ふわり、と羽が見えた。…え?

「私を忘れたのかガブリエルよ。本物の熾天使サリエルを」

金髪がサラリと揺らし、自身をサリエルと名乗った天使は嘲笑った。



撹乱する戦場
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