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死は平等な安らぎだ。そうアローンは言いきってケルベロスを倒し向かってくるテンマの動きを封じた。剣が振り下ろされる。

「もう、君を前みたいに輝かしく思えないよ」

なぜなら、人と神の差は歴然だから。サーシャが叫ぶ。すると辺りが光り冥王の小宇宙が無理矢理押さえ込まれていった。それらは地面に貼り巡らされている大量の護符によってだった。

「なんで…今まで見えなかったんだろ…?」

急に力を失い膝をついたアローンへと向かう人物がいた。

「これ以上この聖域を荒らさせはしませんぞ冥王…!かかったな!アテナの護符による大いなる籠、タリスマンケージに!!」
「教皇!」
「奴を弱体化させた今ならその身も動くぞアルデバラン。…二百数十年ぶりですかな?ハーデスよ」
「なるほど。前聖戦生き残りの小僧の内の一人か…老獪になったものだ」

テンマは思わず教皇セージを見つめた。(そりゃあ、そうでしょ二百数十年生きてるんだし…化け物よ、ある意味。)冥王を前にしても動じない威厳に聖闘士たちは勝機を見出だした。だがハーデスの剣は力を封じたにも関わらず教皇を岩にたたき付けるほどの圧倒的な力を見せた。

「愚かな。二百数十年前の護符など足止めにもならん…覚悟を決めるのはお前のほうだ。余の膝を地につけさせたこと、天馬星座との再会に水を差したこと思い知らせてくれる」
「…へぇ、流石冥王。だけど…」

あともう一息、足りないな。君の瞳はまだ闇に飲まれていないよ、アローン。エレナの歪んだ笑みは気付かれることはなかった。セージがアテナに呼びかけ2人の小宇宙が高まり神殿に広がった。…なるほど。

「…!何をするつもりなん…だ!?」
「教皇とアテナの小宇宙が神殿に広がる…」

地響きのような音が響く、そして景色は一転した。





塗り潰された優しさ



塗り潰した色はハーデス、塗り潰したのはパンドラ、塗り潰されたのはアローン。
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