もう1ヶ月が過ぎようとしていた。季節は木枯らしの吹く冬へと変わりマフラーと手袋、耳あての欠かせない日々が続いた。風紀委員への訴えで1週間早いコートの着用の許可が降りた。珍しい…と思い隣の武を見る。傷だらけでおでこには湿布まで貼られている。………どうやら一悶着あったようだ。遠目から見てボンゴレは全員(勿論雲雀恭弥を除く)傷と痣だらけだった。1番酷いのはツナで、どこと無く歩き方がぎこちなかった。

「なあ、今日家に行っていいか?」

それはつまり誘ってるということ。

「…いいよ」

もう、限界に近かった。



***


母様に電話をした。勿論、帰国の許可を貰うためだ。驚きながらも何も聞かないで二つ返事で許してくれた。その優しさに涙しながら私は屹然とファミリーへの指示を出した。私の、ボス就任のパーティーのためだ。もう、日常は諦めた。これからはネオストラファミリーのボス、雨音美々として生きていく。二重の生活だったから苦しかったのだ。1つを捨てれば、いい。私は守護者たちに招待状や会場などの類を任せ電話を切った。すぐにまた受話器を持ち学校へと連絡をする。自分の荷物はもう纏めてあった。元々持ち物は少なかった。後は部下に任せる。ふぁい、と丁度担任が出て学校を辞める旨を伝えた。勿論担任は驚き引き留めようとしたが私の答えは変わらない。

「…これで、終われる」

じゃあこの後味の悪さは一体何なのだろうか。ぐしゃぐしゃのベッドシーツをゴミ袋に突っ込みながらこの胸の痛みも捨てれたらと願った。