私は普通の何処にでもあるような一般家庭の長女として生まれた。ありきたりな生活、それが一瞬にして崩れたのだ。私たち姉妹は知らなかったが両親は矢霧製薬のとある秘密の研究に関わっていた。そしてそれを阻止しようとした何者かに疎まれて暗殺されたのだ。家族を巻き添いにして。本当ならこの情報たちは流れなかったはずなのに私は知った。それは折原臨也が私に教えたことであり、高校生だった彼が私たち家族を狙わせた張本人であるからだ。

 彼は何故か中学生だった私に目をつけた。初めは可愛いものだった。ちょこまかと後に付いてきたり、ちょっかいを出してきたり…。それが段々とエスカレートしてきて、いつの間にか私のスケジュールを調べあげて買い物先に現れたり、物がなくなったり、それから一応見た目だけはいい臨也に構われている私に嫉妬した女子生徒から虐めに近いことをされたりもした。

「あ、の…なんで私に言い寄るんですか?」

 彼が私に愛を囁きながら髪に自分の指を絡めてきた時に思わず問い掛けた。歳の差は3つはある、そんな子供に愛してるというなんて…。そんな私を尻目に楽しそうに笑う折原臨也。

「愛に歳なんて関係ないよ」
「……だからって突然私に関わるのは可笑しいです。きっかけがあるはずでしょ?」

 そう、彼は突然私に好きだと言ってきたのだ。近所だとか同じ学校だとか、そういうものは一切ない。

「君は本当に面白い。だから特別に教えてあげるよ」
「…何をですか?」
「早く帰った方がいいよ。君の家族、死んでるから」

 一瞬全ての音が無くなった。なに、言って、るの…この人…。有り得ない、けどこの胸騒ぎは何なんだろう?そんな彼に背を向け私は一目散に駆け出した。…家までの道はこんなに遠かったっけ?無駄に緊張する。あの角を曲がれば家が見える!角を曲がると向こうに人だかりが出来ていた。パトカーも見える。え………?

「やだわ、惨殺ですって?」
「今3人運ばれていったみたい」

 ……………。3、人…。父、母、妹。

「だから言っただろ?」

 地べたに力無く座り込む私を後ろから抱きしめやけに楽しそうな折原臨也に初めて殺意が沸いた。

 それから私の人生は180度変わった。