「美々、漸く会えましたね」
「お帰りなさいませムウ様!」

任務で遠くに行っていたムウが1ヶ月ぶりに帰ってきた。美々はやっと会えた愛しい人にパッと大輪の花を咲かせたような笑みを浮かべてムウの胸に飛び込んだ。さすが黄金聖闘士、勢いよく飛び込んできた美々を上手く抱きしめ頬にキスを1つ落とした。藤紫色の髪が温かな風に揺られて視界を鮮やかにした。ぎゅうぎゅうと腕を首に回し力強く抱きしめてくる彼女の首筋に顔を埋めてムウはクスリと笑った。

「寂しかったみたいですね」
「貴方の居ない白羊宮は退屈でした」

美々のサラリとした髪を撫で、抱きしめたまま白羊宮に入るムウは用意されていた昼食に見向きもせず寝室に急いだ。ぽかんと不思議そうに美々はムウの顔を見つめた。

「ムウ様、ご飯…」
「その前に貴女をいただきます」

我慢、できないんです。掠れた低い声で耳元で囁かれきゅんと美々の身体が震えた。顔を赤くして今度は美々が首筋に顔を埋めた。ぽん、とダブルベッドに身体を放り出し押し付けながら噛み付くようにキスを贈る。下唇を舐め甘噛みをすると唇の隙間から甘い吐息が溢れた。美々の白い頬が赤く染まるのはとても情緒的でさらにムウの中の火を燻らせた。

「貴女が悪いんですよ?」
「…ん、…ふぇ……?」
「すぐにこんなに乱れて…。今日は優しくしてあげられませんからね」

さっきまでの優しさはなく、欲望からの黒い笑みはムウらしくなく、しかし美々にとっては己の熱を高まらせるものであった。これだと今夜は眠らせてくれそうにないな…。諦めて美々は愛する男からの愛情を受け入れるべく瞳を閉じた。