「ブルーローズを知ってる?」
「そんなものは存在しない」

双魚宮に突然きたかと思ったら開口一番で伝説である花の話を口にした美々にアルバフィカは眉をひそめた。どこからそんな話を聞いてきたのだろうか全く。

「花言葉にもあるように青い薔薇ができるわけない。第一薔薇に青の色素はできないのだ」
「は、博識だね…」
「薔薇のことならな。だからブルーローズは無いのだよ美々」

辺りを見渡しても赤やピンクに白といったよくある薔薇ばかりである。アルバフィカはその内の毒のない薔薇を手折って美々に手渡した。

「これで我慢したまえ」
「う、ん……」
「なぜ、青い薔薇の話を…?」
「花言葉が不可能だけじゃないって知ってる?」

それは初耳だった。

「それはね、神の祝福だよ」
「………」
「アルバフィカ、貴方も祝福されて生まれてきたの」

美々の笑みはとても綺麗だった。



青い薔薇に祈る