下半身の鈍痛で目を開けた美々はそっと隣で眠る冥王を起こさないようにそっとベッドサイドの時計を見た。まだ4時前、冥界なのだから太陽は上がらないので空は黒。よいしょと身体を起こすとぐいっと引っ張られた。

「わっ!」
「……起きたのか?」
「ハーデス様…」
「さっきまでは余を呼び捨てていたのになあ」

そ、それはそういう場合だったから…!真っ赤になった美々を見てクスクスと笑うハーデス、その白く美しい身体の上に倒れ込むような形になってしまっていた。

「あ、あの…この体勢はちょっと…」
「煩いぞ、そんなに余が嫌なのか」
「ちっ違います!」
「ならよいではないか」

美々の頭の中は理不尽な神めと悪態をつくも、敵う相手ではないので沈黙を守る。そんな美々にハーデスはキスをしろとせがんだ。

「なななななななんで…!」
「余の事が嫌いなのか!?違うならよいではないか!」

ぎゃんぎゃん言い合うがハーデスの小宇宙の高まりを感じて仕方なしに目の前の白い肌に唇を押し付けた。

「貴方の心臓にかけて、愛してるわ」
「美々…」






ちょうど心臓の上だったのでとくんとくんと脈打つ音が聞こえた。そこに耳を傾けながらまたうとりと眠りに落ちた。それを見て緩やかな笑みを浮かべるとハーデスも澄んだ瞳を閉ざした。