「なんで、黒く塗ってんだ?」
「なにユウ、気になんの?」
「べっ別にただ目に入ってきたから聞いたまでだ!言わなくてもいい!」

はははと笑いながら私は自分の指先を見つめた。黒。ただでさえ黒の教団は名前の通り服などに黒を使う事が多い。それに私は髪も黒。ほぼ白黒だった。リナリーに今流行りらしいローズピンクのマニキュアをもらった。だが要らないと断った。

「なんか、ねー。この色、引き締まるんだ」
「んあ?意味分かんねー」
「分からなくて結構!ま、私の意思の表れって奴だよ」

ふうん、と興味なさそうに六幻の手入れを終えたユウは刀を傍らに置いてから向かい合ってた私の手を掴んだ。指先に、キス……えっ!?!?

「ま、その意思の表れに敬意を払ってやるよ」
「ほんと、性格悪いね」

勝ち誇ったような(珍しい)笑みを浮かべたユウに赤くほてった顔を見られないように思わず開いていた方の手の甲で顔を隠した。黒と目が合った。