ねえ、世界がハーデスのモノになったらどうするの?


ひんやりとした我が双魚宮で彼女は戦女神アテナに仕える者としてはよろしくない質問をしてきた。

「……、そうならないために私たちはいるのだが?」
「だから、もしもだって…アフロディーテたちが負けたらの話」
「……負けたのだから、死んでいると思うが」

正直に言う。言ってからも再度考えたがこれ以外の答えは見つからなかった。当然だ、勝者は敗者が立ち上がろうとすることを1番許さない。その前にその危険因子を摘み取るだろう。摘み取る、即ち死だ。……第一、激戦で私たちは冥闘士に殺されていると思う。ふとソファーの隣で身体を丸めて寄り添うように座る美々を見る。…彼女も、死ぬのだろうか。

「もしアテナやアフロディーテが死んじゃってもね…私、生きたいんだ」
「それは誰もが思うことだから仕方ないさ」
「例え、ハーデス軍に寝返ってでも私は生きる」






素直な彼女に呆れつつも、生への執着の強い彼女に粟立った。私も、同じだと思う。唇にそんな言葉を乗せて噛み付くようにキスをした。