「あれ、美々って煙草吸うっけ?」 「…軽いヘビスモだよ。いつもは煙管なんだけどね」
赤いルージュが引かれた唇に煙草が挟まれる。その魅惑に思わず目がいってしまう。ミロはほぼ全裸の自分たちの身体をぼんやりと眺めながらまだ地平線が白みはじめた世界の平和を噛み締めた。
「でも俺の前じゃあ吸ってなかったよな」 「ミロが嫌がるかと思って我慢してたんだ」
でも昨日は1日中、離してくれなかったじゃん。顔を赤らめる美々に思わず顔を緩めてしまった。いつも強気な美々が恥ずかしがる姿は可愛らしく見えた。煙草を灰皿に押し付けごそごそと美々は顔をシーツに埋めてしまった。
「美々ーおいでー」 「……もう」
両手を広げてサディスティックな顔をされちゃあ、私は逆らうことなんかできない。ころころと彼の胸に転がりこむと地肌にあったかいミロの温度が伝わってきた。手を胸元に置いてみるととくん、とくん、と規則正しく聞こえてくる鼓動に睡眠を誘われる。
「わーほんとに煙草の匂いするわ…」 「……だから言ったじゃんー、ミロは嫌がるかもって」 「別に、嫌いじゃないぞ。昔は吸ってたしな」
嘘!!思わず身体を起こしてミロを凝視する。ミロは私の急な動きにびっくりしていたがふと目を逸らした。
「あ、おい…お前、素っ裸だから…」 「え…あ、ああっ!」
慌ててミロとシーツの間に身を縮こませる美々。恥ずかしながらも早く話せと見つめるとぼそぼそと何か言ってる。…ん?もっとはっきり話して!
「…、……アイオロスが死んだ頃にちょっと、な…」 「あ、思わぬシリアスな展開」 「お前な……まあいいや。手元に何故かあったんだよ。」 「へえ…(何故かって…蟹か)マルボロ?」 「セブンスター。でもすぐ止めたんだよ、カミュに止められてな」
あの氷漬けは酷かった。げっそりと言うミロの肩を思わずぽん、と気持ちを込めて叩いた。煙がふわんと揺れた。
天蠍宮でのとある会話
元拍手でした(^ω^)!
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