「へえ、貴方がオリハライザヤね?」
「…君は誰だい?」
「神様です」
「は?」

目の前に現れた白いワンピースに身を包んだ少女は自分のことを神様と称した。臨也は呆れ果ててそのままソレを素通りしようと思った。でももし本当に神だったら、と思うと足が止まってしまう。有り得ない、神は人と交わらないからだ。不思議と興味が沸いてきた。…俺の暇潰しになるか。

「君さあ、本当に神なの?」
「そだよー」
「証拠は?」
「えーー証拠ぉ?めんどくさいんだけど…」
「なら嘘だと見做すよ」
「んー仕方ないなあ…臨也にだけ特別出血大サービスだよお?」

少女は掌を地に翳して丸を描くように動かした。するとそこにはコンクリートではなく黒い丸があった。………え、なんだよコレ。臨也は目を凝らした。中からは何かが聞こえるけど、縁起がいいような音は聞こえない。耳に届くのは断末魔や叫び声、呻き声、苦しいと助けを求める声、何やら切り裂いたり、液体の弾ける音などなど…。まるで、地獄の音を聞いているようだ。ようやく少女が口を開いた。

「地獄に堕ちた方の末路になりますー。こんなモノを簡単を見せられるのは神である私だけだと自負してまーす!」
「…」

高らかにピースをこちらに向けて誇らしげに笑う少女。ため息しか出てこない。しかし今見せられたモノには信憑性が少なからずある。

それなら。

「君はなんで俺の元に来たんだ?無神論者である俺の所に」
「貴方に信じて貰うため、それだけですが何か?」

どうやら玩具ができたようだ、それもとても興味深い。臨也はぺろりと己の唇を舐めた。