(自分でもよく分からないものに(;_;)雰囲気だよね)


なんで俺は聖闘士になったんだっけ。ミロは暗い路地裏でマフィアを1人倒しながらそう思った。世界は冥王の手に落ちることはなくなった。だがまだ平和とは言えない。飢饉や盗みに戦争…。女神の憂いはまだ絶えそうにない。彼女は財団のトップでもあり、任務など与えるのはほぼ教皇に任せっきりである。現教皇、シオンも予想以上の地上の荒れ模様に頭を抱えていた。何回も逃走を謀ったがそれは老師童虎の手により敢なく宮に戻された。涙涙でまるでその鬱憤を押し付けるかの如く俺たち黄金聖闘士の任務は増えた。サガが偽の教皇として反逆者たちを殺戮していた時くらい、忙しい。雑魚な仕事だが、量が半端でない。いたちごっこ、という言葉を思い出しはあ、とため息をついて爪に付いていた血を払った。ふと視線を感じマッハで移動、スカーレットニードルをすぐ撃ち込めるように首元に人差し指を添えた。………おん、な?

「…何者だ」
「と、通りすがり…です…っ!」

そう怯えた女はこの辺では珍しい東洋の女だった。艶やかな黒の長い髪、闇夜に浮かぶ白い肌、幼顔がミステリアスさを引き立てていた。

「早く消えろ。此処は物騒だからな」

拘束を解き明るい道の方へ押しやると彼女は小さく肩を震わせていた。怖がらせてしまったか…、そう思ってたが違った。なんと嗤っていたのだ。

「お優しい黄金聖闘士サマね」
「!」
「もう少し、貴方が来るのが遅かったら」

彼ら、死んでたわ。俺が意識を失わせた奴らを蹴飛ばしながら歌うように言った。

「これらを倒してこい、なーんて命令なのかもだけどね…こいつらに改心できる程余裕はないの」
「…生きるため、か」
「そう。聖域なんて建前…」

少しだけ同情を見せる彼女に興味を持った。なぜ、一般人の女が聖域や黄金聖闘士を知っているのだろう。

「お前は何者だ…」
「教えない。だってこれは胡蝶の夢のようなものだもの…」
「こ、ちょう…?」

ミロは中国の話を思い浮かべた。ある男が蝶になる夢をみた。だがそれは蝶が男になる夢から覚めたものなのかもしれない。さて、どちらが本当なのか。俺は蝶か男か。……だという話、だった気がする。

「貴方は欲している、変化の兆しを」
「……」
「そしてそれは間もなく来るわ、貴方が望むなら」
さあ、あなたはどう動くのかしら。口を歪ませた女はそのままミロの横を通り過ぎた。手を伸ばして肩を掴もうとするが視界がふらふらする。これは現実なのだろうか、否夢かもしれない。辛うじて唇を動かせた。

「お前は、一体…」
「アテナの右手に。然るべき日に会えるわ」

またね、蠍座さん。耳元でそんな声がした気がした。何分経ったか分からないが漸く意識がはっきりしてきた。のびてる奴らはまだ起きる気配はない。そのまま任務を終え聖域に帰ることにした。…今日は疲れた、なんだか夢に振り回されたようだ。先程の女は、一体…。帰って教皇宮に急ぐとアテナもいらした。隣には聖域では見たこともない黒髪の女…あっ!

「お前、は…!」
「私はアテナを守るニケ。よろしくね、蠍座さん」










うーん、ニケって勝利の女神だけど性格悪そうだな。と思って…やっぱり変な話になっちゃった。煮るなり焼くなり状態(´;ω;`)