(オスカルは男設定です)



豪華なお屋敷の薔薇園が見えるテラスに彼女は紅茶を味わっていた。甘い香りにうっとりとしながら眼下に咲き乱れる薔薇に微笑みを浮かべた。だがその薔薇たちの間を縫うようにこちらにやってくる金色を見つけてピキリと表情は固まった。女性のように麗しの容姿を持つオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェは美々を見て微笑を絶やさなかった。すぐにテラスまで来て身軽な身体をひらりと跳躍させテラスに飛び乗ってきた。

「ご機嫌は如何ですか、美々嬢」
「さっきまでは最高だったわ」
「それは困ったな…貴女の憂いを私が晴らしたいものだ」

勝手に目の前に座り指を組み合わせニコリと微笑んだ。ビクスドールのような白い肌に輝く金髪、宝石の輝きを秘めた青の瞳。全てがオスカルを美しく象っていた。…女の私より、美しいわ。

「なんでこんなつまらない女の元に何度も足を運ぶのか分からないわ…」
「勿論、貴女の魅力に惹かれたからだよ」
「嘘つき」

肩が一瞬震えてしまった。本当は嬉しかったのだ。でもついつい、強がってしまうのだ。私は孤高。気高く薔薇に埋もれて過ごす少女。そんなレッテルからか外界と関わりを持つことが怖くなった。オスカルとは偶然にもこの薔薇園で出会った。美しいものを愛でる彼にとって、この私が育てる薔薇園は興味深かったそうだ。
「美々、私は薔薇に惹かれたのではない。薔薇に囲まれた君に捕われたのだよ」
「…、オスカル…」

ちょこっとだけ青を驚きに浸してオスカルは私を凝視した。…名前、初めて呼んだ、かも。席を立って嬉しそうにオスカルは私の傍に来て膝をついた。手をそっと持ち上げキスされる。…恥ずかしい。それから、胸が熱い…。

「美々、貴女は私の事をどうお思いなのか聞いてもいいかな?」
「わた、しが…?」
「私の理性は直ぐに壊れてしまう。貴女を無理矢理愛でるような事はしたくないのでね」

……っ、なんでこんなに恥ずかしい言葉を並べられるのかしら!真っ赤な頬を扇子で隠す。目は挙動不審から泳いでしまうが、金髪は目の片隅にあった。これは完敗だ。諦めて扇子を机に置き、私の視線より少し下にあるオスカルの頬に両手を添えた。整った唇に自分の唇を触れさせる。音を立てて離すと急にオスカルは立ち上がり驚く間もなく身体の浮遊感に襲われた。

「う、わ…!オスカル!?なによ!」
「もう我慢できない。部屋に行こう」
「!!!!?」

鼓動が更に高まり顔も真っ赤。……でも、オスカルの金糸から少し見えた耳が赤くなっているのが見えた。

「全く、美々は妙な所で積極的なのだな」
「積極…?!」
「隙を見せるのは私の前だけにしておくれよ」

そっと瞼の上を唇で塞がれた。私はドキドキとなる心臓の心地好さに頬をオスカルの逞しい胸に押し付けた。








ベルばらを見た記念です(^ω^)オスカルまじイケメン!そして美女!そして切ない…(´;ω;`)