私は困ったように息を細く吐いた。目の前…まあ、望遠鏡越しだけど…にはボロボロになった哀れにも臨也の楽しみの為に利用されるべく、選ばれたターゲット。可哀相に目は絶望で死んでいて、ふらふらとしている。

「あーあのままだとヤバくない?あそこ屋上だから落ちちゃう……あーらら見事に飛び込んだねえ…80点、てことかしら」

独り言をぼやいている途中で何かが堅い地面にぶつかる音と柔らかいものがぐちゃりと潰れる音がした。あの音からしてきっと即死しただろう。今私がいるところから下を覗き込めば、きっと身体まではよく見えなくとも鮮やかな鉄錆臭の放つ赤が見えるのだろう。それを見たいと思うほど無粋な気持ちはないし、落ちぶれてはいない。

「んー今回は臨也も手を抜いたな…。だーーーーってつまらなかったもの。ってあ、今目ぇ合ったよ…やっべこっち来そう!逃走しなきゃ」

私は迷うことなくビルの反対側から飛び降りた。足で壁を蹴りながらスピードを落とす。丁度いい所でくるりと下に着地。……うん、100点!

「あ!美々さん〜」
「え、あーくるくるとまいまいー」

折原臨也の妹さんがニコニコと駆け寄ってきた。1人はぴょんと跳びはね私に抱き着き1人は背中にピトっと張り付いた。

「もー会いたかったんですよー」
「私もー!臨也に似なくてよかったねえー」

ぐりぐりと頭を撫でる2人は私から離れて並び、申し訳なさそうに顔を歪めた。

「ゴメンね、イザ兄の頼みだから」
「……奢り、……」
「……え、」
「全くやっと中二病が役に立ったよ」

突然後ろから聞こえた声にグギギギと振り向こうとした。だが背中から抱き着かれて後ろを振り向きたくなくなった。

「ばいばい!」
「あぁあぁあ…くるくるまいまいーーーーーっ」
「あんなの放っておきなよ」

太股を這う臨也の掌。パシッと叩くがその手が離れる事はなくむしろ臨也をその気にさせただけだった。

「…んっ、あ、…や、だ…!折…はら臨…や…」
「おや?名前で呼べばいいのに」

そう言いながら臨也は目の前の日に曝されることのない白い皮膚に目がいっていた。そこに迷う事なく吸い付く。

「あぁあっ!や、めて」

なんともいえない美々の叫びは無視で臨也はそのままうなじを強く吸った。身体を動かしても抱き込まれているのでさほど効果はなかった。やっと解放された美々の首には痣のように赤い花が咲いていた。それを見て満足そうに臨也は笑った。

「ねえ美々、君は俺のものだから」






カクゴ、しときなよ?




(くるりまいるの口調が適当…泣)