「美々ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「し、シオンっ!?」

任務から帰って報告しようと教皇宮に入ると突然ばさっと法衣を翻して飛びかかってきたのだ。ぐひょ!と女らしからぬ声が出るがシオンはお構い無し。ぐりぐりと自分の豊かな髪を靡かせ頭を美々の胸に押し付けた。そんな子供らしい249歳に思わずきゅーんとしてしまう美々。慌てて傍に居たサガが2人を引き離そうとした。

「2人とも落ち着け!教皇!貴方はこの聖域(サンクチュアリ)を纏めるお方、美々1人が長期任務なだけで泣かないで下さい!」
「なんじゃと!やはりお前が企んだのか!わしと美々の仲を引き裂こうとしたのは」
「任務ですから!!」

キリリと胃が痛み出してサガは泣きたくなった。全くこの教皇は…!復活してから何かと自分をいびるのだ。お蔭様で胃薬を片手にしないと双児宮からでられないのだ。カノンは海界で海龍(シードラゴン)の仕事が重なり聖域にあまり戻ってこれない。一回漸くカノンが帰ってきた時に酒とつまみを片手に泣く泣く愚痴ると哀れそうに猪口に酒を注いでくれた。カノン曰く、あんな兄はもう見たくないそうだ。

「サガー、生きてるー?ごめんね?シオンの事は任せて仕事戻っていいよー」
「っ、美々…!」
「おい、なんだその空気はそのサガの感動した態度は、っておいわしの美々に触れるな小僧ーー!!」

スターダストレボリューションが放たれる。しかしサガもやられっぱなしになるわけはなくアナザーディメンションを食らわす。ちゃっかり美々はアテナ神殿に逃走した。2人がハッとした時には教皇の間は見るも無残であった。ふと入り口に小宇宙の揺れがしたので振り向くと爽やかな笑みと黄金の聖衣を纏った青年が立っていた。ピキリ、と2人が固まる。アイオロスを死なせた原因と(ほぼ)本人は、彼に頭が上がらないのだ。

「やあ教皇、サガ…これは一体どういうことだい?」
「え…あ、いや、その…」
「わ、わしではない!こいつの責任じゃ」
「貴方という人は…!半分はてめぇのせいだろ!!?」
「教皇に向かいなんたる無礼だ!」

アイオロスは溜め息をついた。どうせいつもの美々関連なのだろう。シオンが美々にお熱なのは黄金聖闘士を含め、聖域に関わる人たちは知っている。それのお陰で執務に影響がでることもしかり。それで反乱の罰で教皇補佐になったサガにそれのとばっちりがきていることもしかり。

「愛しておるよ美々ーーーー!!」
「煩い!ギャラクシアンエクスプロージョン!!」
「(こいつらもう1回死んだ方がよいのでは…)」





(あらあら、また修理が必要なようね)
(…すいませんアテナ)
(あら、シオンからの愛じゃない。)
(っ、……えへへ)