どうしてもというヒューゴに私は仕方なく馬車へと乗り込んだ。この森はダリルシェイドに近く、屋敷までは数時間で着くそうだ。言い換えれば、ラスボスヒューゴ、否ミクトランと数時間狭い空間に2人きり。なにこれ死亡フラグ?完全に笑えない。濡れた服の上からモコモコとした毛布を借りて包まりながら内心ヒヤヒヤしていると突然ヒューゴは私を雇いたいと申し出た。思わぬ誘いに私は固まってしまった。ヒューゴはだって、……ラスボスみたいなものだしきっと私を利用するつもり………あ!この世界、ソーディアンがなきゃ晶術使えないんだ…っ。さっきめっちゃインディグネイションぶっ放しちゃったよ。滝汗。


「君の悪いようにはしない、少年」


「そ、そういうわけじゃ…え?」


今少年って言ったよねこの人。確かにこの服装じゃあ胸とか分かりづらいけ…あー髪切ったんだ。今じゃあ肩に少しつくくらいの長さだ。………このまま男として通そうかな、動きやすいし。一人称は…俺、とかでいっか。


「そういえば、君の名前は?」

「……クロエ・アマネです」

「クロエ、くんか…ぜひ引き受けて欲しい」

「お、俺なんて身分が分からないような人間をお雇いにならない方が…」

「身分ではない、要は力だ」


そういって笑うヒューゴに背筋を凍らせてしまった。でも………リオンに、会ってみたい、かも。


「と、とにかく話だけは聞きます…!…俺は傭兵をすれば?」

「いや、我が息子エミリオの指南をしてもらいたい」



ま・じ・か・!



「…………分かり、ました」


「感謝する」


そう言って彼は分厚い本へと目を落としてしまった。どうやら話したいことを話せ自分の思い通りになって、自分の新しい玩具になりえる存在をみつけて満足でもう興味はないようだった。

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