謁見の間に行く途中で兵士に連れられているティアと落ち合った。「昨日ぶりです、イオン様、アニス、大佐、クロエ」と少し強張った笑みをこちらに向けた。思わずジェイドと顔を見合わせてしまった。それには気付かなかったイオンがにこやかにティアに話し掛けた。


「ティアも陛下に呼ばれたんですか?」

「え、えぇ…モース様にオラクルとしてこの件に関わるよう言われていましたので」


困ったようにティアはそれだけ言ってスタスタと兵士の後を追って先に謁見の間へと入っていった。


「ティアちょ〜っと冷たかったよねぇ」

「ティアの立場上、イオン様とモースの間で揺れているのでしょう…行きますよ?」

「申し訳ありませんが…」


進もうと思った矢先に兵士がやって来てそれを邪魔した。


「導師イオンには先に陛下からお話したいことがあるそうです、別室に来ていただきたいのですが…」

「分かりました、それでは皆さん後ほど…アニス、」


「はいはーい!」


兵士の後をイオンとアニスが行ってしまうとガイも騎士団に用事があったと同じように消えてしまった。


「さあ我々も行きますよ?」
ジェイドはほらほらと急かして私たちもティアの後を追うような形で謁見の間に入った。



***


しばらくするとまた扉が開いてルークが入ってきた。ルークの父親が待っていたと声をかけた。

「なんだよみんなして集まって…ん、まだいたのか?おまえ…オラクルって意外とヒマなんだな」

「安心して…好きでいるワケじゃないわ」


ティアのその言葉に少しむっとしたようだがそれをファブレ公爵が諌めた。それからキムラスカとマルクトが和平条約を締結すると告げた。ルークは自分のお陰だと踏ん反り返ってみせた。(隣でジェイドが笑ってた。)

「そこでルークよ、ここにおまえをキムラスカ王国の親善大使に任命したい!!」

「……は?」


「ルーク殿一行が届けられた親書には和平条約締結の提案とともにマルクト帝国のとある都市への救助の要請があったのです、その名は…鉱山都市"アクゼリュス"!!」

説明をするたびにルークの顔には面倒臭い、戦いたくないと出てきた。そんなルークにインゴベルト陛下は話を進めた。この話は、本当は聞きたくない。……あ、イオンが誘拐されるんだっけ。そうだ、アクゼリュスに一足早く救助をしなくちゃ…。ヴァンに、バレる前に。


「実はこの役目、おまえでなければならない意味があるのだ」

「――俺でなければならない…?」


その言葉にティアもジェイドもナタリア、全員の顔に真剣さが帯びた。兵士が手に運べる程の大きさの第六譜石を持ってきた。神々しく扱い、目に入れる人たちをルークは困ったように分からないと言った。

「ルーク、そなたはあまりこの世界のことを知らぬのだったな…クロエ殿、説明してくれぬかな」

「はい陛下…ルーク、今から2000年も昔に音律士ユリア・ジュエはこのオールドラントの………未来をスコアと呼ばれる預言を詠んだの」


それはあまりに長いスコアだったためにそれを記した譜石も山ほどの大きさのものが7つにもなった。譜石は時とともに破壊され、一部は空に見える譜石帯となり一部は地表に落ちたといわれている。ユリアの詠んだこの世界の未来史…。それは今の人たちには生きる道しるべになっていて、キムラスカとマルクト、ダアトは平穏と秩序を守るためスコアを遵守しなければならないと考えているわ。


「その通り、これはこの大地オールドラントに生きる人々の総意なのだ!!わかるねルーク?」


ふざけないで欲しい。自分の世界、国を守るためだけにスコアを、人を、ルークを使っているだけ。そう、結果的に幸せになるなら方法、手段を選んでないのと同じ。私が1番嫌いな考え。ルーク、わたしがたすけるよ。



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