キムラスカ・ランバルディア王国
王都バチカル
「そういえば」
思い出したかのようにティアが声をあげた。
「クロエ、貴女お城に行って大丈夫なの?この様子から、モース様がいらしてるっぽいけど…」
「げっ、あの豚に会うのか〜………ま、問題なぃいでででで!」
「お馬鹿さんですか貴女は…まあ、目の届く所に居てくれた方がいいでしょう…元々、インゴベルト六世に顔見せも必要でしょうし」
ならなんで頬ひっぱるんですか…!と引っ張られた片頬を撫でながら涙目でジェイドに抗議をしたクロエだった。しかし華麗にそれをスルーしたジェイドは兵士の静止を聞かずにバチカル城謁見の間に殴り込んだルークの後を追って入っていってしまった。一瞬ガイと目があったがフイと逸らされてしまった。
「伯父上!!騙されるな!!そいつの言ってることはでたらめだ!!」
慌てだすモースを尻目に王はルークという存在にホッと一息ついた。……そっか、まだルークを国の繁栄の為に使うことしか考えてないんだ。少し苛っとする心を抑えつけて、モースやルーク、インゴベルト六世のやりとりをただじっと見ていた。ルークの話も終わってイオンとジェイド、私の紹介になった。
「ご無沙汰しております陛下」
「おお…イオン殿!!よくいらしてくださった、ルークが世話になったようですな」
「陛下、こちらはユリアの再来と呼ばれているクロエです」
「初めまして陛下、クロエ・ジュエと申します」
「貴女がユリアの…!我が国へようこそ」
モースがものっ凄く睨んできてる。キモい。でも気にしてる暇じゃあない。今、1番、重要なんだから。イオンがジェイドを紹介した。ひざまずく青。真剣なピンと張り詰めた空気。
「我が君主より偉大なるインゴベルト六世陛下に親書を預かって参りました、どうぞお納めください」
やべ、ちょっときゅん、としちゃった。そんな私を他所に親書は渡されて無事に任務達成という事になった。心なしか、ジェイドもホッとしているように思えた。さすがに敵国の青い軍服は街の中ではかなり目立ってたし、さも気にせずのジェイドだって疲れていただろう。……お疲れ様、ジェイド。本人には言ってやんないけど、そう思った。…って、ツンデレか。