ヴァンを信用できないと杖を構えたティアに師匠命のルークは黙ってはいなかった。拳を振り回しながらティアへ詰め寄ろうとした。
「おいティア!!いい加減にしろよ!!実のアニキがそんなに信用でき――!?」
バサリ!と大きな羽ばたく音がした。―――アリエッタの猛獣!ティアが大きな声でルークと叫んだ。私はこのまま連れていかれるルークを止めてはいけないのか…と思いながらも私という異分子の為に原作が変わる事を恐れて左手に第五音素を集めながらも術を放とうとは思わなかった。
「アリエッタ…!」
「アリエッタ!!誰の許しを得てこんなことをしている!!」
「ヴァン総長…ご…ごめんなさい…」
ルークが降ろせ放せと喚いている中、アリエッタはチラッと私を見た、ようか気がした。
「この人を返してほしくば…イオン様と、クロエを連れてコーラル城へこい…です、でないと…この人…殺す…です」
大きな羽ばたく音を残してアリエッタたちは去っていった。私たちはそれをただ、見ているしかできなかった。
「ね、根暗ッタの奴…私のルーク様をぉお!!」
「おやまあ、どうしましょうかねえ」
「イオン様はご無事で?」
「はい、しかしなんで僕だけでなくクロエまで…」
「きっと、ユリアの再来だからでしょうね…」
「私…までも…」
「皆…ルークをどうするんだ?」
ガイだけが普通だった。