「………」

「………」


ブリッジで私はピンク色の髪の少女の前に座っていた。周りをぐるぐるとライガが唸りながら闊歩している。アッシュは私をここに連れてきた後、何処かへ行ってしまった。ピンクの少女、アリエッタは困ったように私を見てきた。


「……クロエ、悪いことした?」

「……アリエッタ、ガチでそれ言ってるの?」


え、この子ちゃんとこの奇襲作戦について知らされているよね?なんかイオン様、って単語でついてきちゃってるなんて事はないよね、ね?


「イオン様…まだかな…」

「まだでしょ、今封印解いてるんだし」

「そっか…、………?なんでクロエ封印のこと知ってるの?」


あ、やべ、口が滑った。


「アリエッタ師団長、負傷したラルゴ師団長は無事でした」


ちょうどいいタイミングで1人の兵士が報告をしてくれた。ナイス!アリエッタは人形を更にきつく抱きしめてからコクリと頷いた。


「お大事に、です…」

「……」


可愛い、でも激しく不安です。その時頭がキン、と痛くなった。――――来た。


大きな揺れがタルタロスを襲った。この戦艦の非常停止機構が発動した音のようだ。揺れは収まったが動力機関や管制装置は停止、辺りも暗くなった。兵士たちが慌てて対策を講じるが、虚しく意味はなく、動き出す様子はなかった。慌てる兵士に動じずアリエッタはちょいちょいと私の服の裾を引っ張った。


「……クロエ、来るです」

「………え、あ、アリエッタ、まさか…」


急に手首を引っ張られて私は前へのけ反った。目の前にはわさっとした獣の毛。……ま、待ってまさか。


私はアリエッタと共にライガに乗って壁を引き裂いて通っていった。思わずフェードアウト。


***



「おい、お前はこのままでいいのか」

「……ヴァンの計画の事を言ってるの、ルーク」

「!知って、いたのか…」


目を見開くアッシュに向かい、私は続けてこう言った。



「早く決めなよ、そうしないと取り返し、つかなくなるから」
「……………ハッ、お前に言われなくても俺は俺なりに行動する」


そう言って鮮やかな赤を揺らして前を真っすぐ向き直した。その姿は王族を思わせ、眩しかった。


彼と別れる前に話した風景。それをまるで第三者から見ているような夢だった。



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -