「んだよ、俺の剣術は見張りくらいにしか役にたたねーってことか?そりゃ実績経験ほとんどねーけどよーーなあクロエ?」

「……」

「…クロエ?」

「えっ、あ…ほら、変に力使うよりティア1人でちゃっちゃと終わらせた方が効率いいからじゃないかな?」


そっか!とぱあっと明るくなったルークは子供っぽくて可愛かった。ちょっと背伸びしてぐりぐりーと撫でてみた。カッと顔を真っ赤にさせてルークはふて腐れた表情で周りを見渡した。


「な…なんであんな歌でこいつら寝ちまうのかねえ」

「ティアの譜歌の第七音素は特別でね…大昔に発見された、七番目の音素なの、星の中心から発生する粒みたいなものを元にした第七音素はね、未来を知ることが出来たり生命力を増やす癒しの力を持ってるのよ」

「へ、へー」

「クロエさん分かりやすいですの!ちなみにミュウの炎は第五音素ですの!!ソーサラーリングのおかげで自在につかえるですの!!」


えっへん、と自慢したミュウの片足をひっつかんでうぜー!と言いながらルークは振り回した。ごめんなさいですのーといいながら笑っているミュウには天性のM性が眠っていたんだと目の当たりにした瞬間だった。


そして私は油断していた。ルークは兵士を蹴飛ばしてない。気を抜いてホッと一息ついたから私は足元の他の兵士に気付かなかった。ガツン!と大きな音を立てて蹴っ飛ばして、しまった…。ドテンと尻餅をついているとルークが寄ってきて手を貸してくれた。めっちゃ爆笑しながら(…)。


「ぶはっ!ばっかだなークロエは」

「ちょ、どどどどうしよ…!起きちゃったらまずいって!!」
「だ、大丈夫ですの?」


よっこらしょと腰を上げる。不意にそのままルーク側にまた引っ張られた。やっぱり、兵士が起きてしまっていたようだ。がむしゃらなルークの剣は、そ の ま ま 兵 士 の 胸 を 貫 い た 。


「…あ…」

「さ…刺した…人を刺した…俺が…俺が、殺した!?」


私たちは眼下でどくり、と大量の血を流す兵士をただ見ていることしかできなかった。瞳の色が生気を無くしていく。私はぺたん、とその場に座り込んでしまった。ま、た…………変えられなかった。変え、なきゃ…いけない、のに…っ。


「人を殺すことが怖いなら剣なんて棄てちまいな!!この出来損ないが!!!」


「あ…っしゆ…」


アッシュだ。彼は憎しみに顔を歪ませて剣を薙ぎ払う。倒れるルークを放って鮮やかな濃い赤が私の元へと近付いてきた。ズリズリと遠退こうとも、身体が思うように動かない。ちょうど外の騒ぎを聞き付けて、ブリッジを奪還したと思われるジェイドとティアが戻ってきた。


「う…これはいったい…」


私がアッシュと近いのを見つけコンタミネーションを使って槍を取り出すジェイド。その時一人の兵士が彼の名前を口にした。顔色が変わる。


「アッシュ――六神将、鮮血のアッシュ!!」

「さすがネクロマンサー殿…しぶとくていらっしゃる」


ニッと不敵に笑った顔は、まるでルークだった。ジェイドはまた驚いた。だって、それは……。


「気付いた、んだ…」





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久しぶりなのでリハビリがてら長めにしてみました^^

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