大柄な男が大きな鎌をルークの首に添えていた。眼光は鋭く、導師イオンを渡せと言ってきた。―――黒獅子ラルゴ、信託の盾騎士団六神将。ちょうどジェイドの影になっているからか、私には気付いていない。


「戦乱のたび骸を漁るおまえの噂…世界にあまねく轟いているようだな、死霊使いジェイド」

「――…あなたほどではありませんよ、信託の盾騎士団六神将黒獅子ラルゴ。あなた1人で私を倒せるとでも?」


ネクロマンサー、という言葉にティアは思わずラルゴからジェイドを見やった。大佐があの、死霊使いジェイドなのか…と動揺しているようだった。ジェイドの言葉にラルゴはニヤリと笑う、――――今だっ。


「こいつを使えば――あるいはな」


空中へと放物線を描き投げられた箱、視線が皆上へと向かう。ラルゴが勝利を確信してまたニヤリと笑った。

「―させない!」


右手に忍ばせてた小刀を勢いよく投げる。それは上手く小箱を――――――かすった。


「!」

「えっ、そ、そん…な…っ」

「う…、くっ」

「なっ…封印術(アンチフォンスロット)!!」

「しまった!!!」

「導師の譜術を封じるはずが予定が狂ったがまあいい!!おまえは多少なりとも譜術を使えぬ!!」


私が封印術を傷付けたからあまり効かなかったようだが、ジェイドは身体を動かしづらそうだった。それでも槍を手から形成してラルゴに向かう。


「アニス!!イオン様と彼女を!!」


私は戦うつもりだった。でもアニスに手を引っ張られて、どうにもできなかった。ジェイドは私を名前でなく彼女、と呼んだから。名前を出すと、私が危ないと判断したから。


「彼女…?もしや…ユリアの再来か!!行かせはせぬ!!」


後ろでゴオッという何かを吹き出す音と、ミュウの「ご…ご主人様たちをイジメるなですのーーーーーーッ」という雄叫び(え…あれ、アニメは可愛かったよね?え、なんで、え?)が聞こえた。

それに気をとられたラルゴはジェイドから目を一瞬、ほんの一瞬外してしまった。そこをジェイドが見逃すはずもなく、素早く前に飛び出た。槍がラルゴを貫く所はまるでスローモーションのようにゆっくりま鮮明に見えた。バタン、と大きな音を立てて崩れる身体からは止まることなく流れる赤い液体。例え死なない、と分かっていても…この光景はキツすぎる。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -