私が艦室に入ると、予想していなかったのか私を見て驚いた2人の顔がそこにはあった。ルークは立ち上がって不機嫌そうな顔までしてくれた。おい人差し指でこっち指すな、失礼だ!


「おまっ、クロエまでなんでここに…」

「大佐!クロエが可愛いからって拘束することはないのではっ!?」

「ティア、落ち着いて…。私、ジェイドの仲間なんです」

「仲間…?」

「はい。戦争を止めるために、私の地位も使うんです」

「はあ?お前庶民じゃねーのか?」


…ルークの失礼な発言は聞かなかったことにする。少しちゃんと立って胸を張る。


「私はこうも呼ばれています。クロエ・ジュエと」

「!!!ユリアの再来…!」


ティアの目が見開かれた。慌てて椅子から立ち上がり私の目の前で膝をついて、祈るように両手を胸の前で組んだ。ルークは急に態度を改めたティアを見てぎょっとしていた。イオンやアニスはやっぱり、と笑っている。


「クロエ様…今までの数々の無礼、お許し下さい」

「ちょ…ティア、私は気にしてないから!むしろ今まで通り呼び捨てで呼んでよ」

「そんな…っ、ユリアの再来様にそんな恐れ多い事…!」
「命令だよー。これならいい?」

「!…ふふ、分かったわ」


ティアが微笑んで顔を上げた瞬間に警報が鳴り響いた。慌ててジェイドがブリッジに状況を聞いた。


「師団長!!敵襲です!!前方上空にグリフィンの大集団です!!総数は…総数は不明!!」

向こう側から指示する声、羽ばたき、威嚇音がしていた。次の瞬間、それらは全て叫び声で聞こえなくなった。もう向こうからは人の声が、消えた。


「魔物たちが連帯行動を…!?どういうこと!?」

「ブリッジ!応答せよブリッジ!!」

「……始まった」


私の声はルークの騒ぎ声で掻き消された。そして左腕に忍ばせておいた、小刀をそっと右手で握りしめていた。


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