同日深夜、タルタロス艦内




私はブリッジから外を眺めていた。今日の空の様に雲はあまりなく、星と音譜帯が落ちてきそうなくらい近く、たくさん見えた。………高層ビルに排気ガス、眩しいネオンなんてない世界だから当たり前といったらそうなのだが…。


「風邪をひきますよクロエ。貴女の場合は放っておいたらろくなことがないのでヒヤヒヤですよ」

「…………」

「……クロエ?」


いつもの私らしい反応がなく、少し真剣そうな顔でまだ空を見上げたままの私の横顔をのぞきみてきた。

何も言わずに右手の人差し指で空を指差す。赤い瞳がそれを追う。私は口を開いた。


「星は、数億光年も昔の光で今私たちを照らしています」

「そうですね」

「では私たちは、なぜ預言に頼るのでしょうか」

「……言いたい事は、なんですか」


少し警戒されたようだ。ジェイドは私が第七譜石を詠めることを知っている。それを畏れているのかもしれない。


「星は、光がここまで届くことを知りません。…あまりに遠すぎて見えない星もあります。……預言も同じなんです」

「スコア、がですか?」


私が預言を詠んだわけじゃないと知りいくぶんか瞳が優しくなった。それもそうだ。もし、自国の崩落、誰かの破滅、つまり秘預言を詠まれたら困るからだ。私は苦笑した。さらに言葉を紡ぐ。


「知ったら本当にそうなって光れるかもしれない、知っていても届かないことがある」

「……つまり、貴女は預言はただの1つの可能性、そう見ろとおっしゃるんですか?」


……頭がいいとたまにこんな抽象的な話を理解してもらえて楽だ。コクリと頷くと、首を横にふって、参ったなあという顔をされた。…………むかっ。


「こんなに預言の蔓延る世界で、クロエの言葉は届きにくいと思いますが…」

「……………そんなの、1番私が知ってるよ」


苦しげにクロエ微笑んだ。


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