「それに食料泥棒でもなさそうですね」
「イオン様」
「少し気になったので食料庫を調べさせてもらいました。部屋の隅にこんなものが落ちていましたよ」
「なんたって?どれどれ…」
ローズさんの後ろからひょっこり顔を出してふわふわとしたソレを覗きみた。イオンと目が合う。にっこりと口パク、ど、こ、い、っ、て、た、ん、だ。
………それ、私のセリフ。イオンだって動き回らないように言われてたじゃん…。とりあえず口を挟んでみた。
「……聖獣チーグルの抜け毛、ですね、ローズさん」
「そ、そうだねぇ!」
「えぇ…恐らくチーグルが食料庫を荒らしたのでしょう」
その言葉を聞いてルークはどや顔でほら見ろ!!と叫びだした。一件落着、というジェイドさんはいつの間にか私の後ろに立ち私の腕をしっかりホールドしていた。…逃げられない。
追い出されるおじさんたちとルーク、ティア。ティアは心配そうにこちらを気にしていたが、なすすべなくという感じで出ていってしまった。お、置いてかないで!手を伸ばしたが届くはずなく。くるりとホールドされた腕を引っ張られて私はジェイドと向き合った。………ショボン(´・ω・`)としたけど無理だった。
「…さてと、なぜ彼らと一緒にいたんですかぁ?クロエー?」
「ひぃっ!」
「イッオン様ーーーってあれ?大佐とクロエ、痴話喧嘩ですかぁ」
ちげーよアニス。私はアニスを睨んだがその間にこちらに興味を無くしたアニスはイオンを叱っていた。呆然とそれを見ていた私をジェイドはぺしんと頭を叩いてきた。