ルークは一軒の少し大きい家へと引っ張られていった。目の前には泥棒を捕まえたと騒ぎ立てる人たちが集まっていた。
「違うっつってんだろーーがー!!!」
大声をあげて抵抗するルークの元へ、青の軍服を纏った彼が立つ。…ま、さ、か!
「まぁまぁみなさん、まずは話を聞こうじゃありませんか」
「なんだよあんた!?」
「マルクト帝国軍第三師団所属ジェイド・カーティス大佐です。あなたは?」
「俺はルーク!!ルーク・フォン…ファブむごッ!?」
「「ルーク!」」
ティアと私は慌ててルークを押さえ付けた。ほんとコイツは馬鹿だ。迂闊に名乗ろうとするなんて…っ。ただでさえ今は緊迫した状態なのだから。………まあ、軟禁されていたルークにそれを求めるのは、少々難ではある。
「…どうかしましたか?」
氷のような瞳を携えて微笑んだジェイドは尋ねてきた。視線は…私を向い……えっ私!?!?ややややややばい!
「失礼しました大佐。…彼はルーク、私はティア」
「(ガタブル…)………クロエでーす」
「ケセドニアへ行く途中辻馬車を乗り間違えここへ来ました」
ティアが尤もらしく弁解をしている間に私はこっそり外へと行こうとした。こっそりタルタロスに戻らなきゃ。そういえば艦を出るなって言われてたんだ…。兵士は脅s…じゃなくて頼んでアリバイを…。よし、あと一歩――――
「おい、なにやってんだクロエ」
「っ?!馬鹿ルークぅうぅうぅっ」
「っはぁ!?」
こいつ私が捕まってもいいと思ってんの?まじジェイドが鬼なの知らないからそんな顔してられ「何かいいましたかクロエ〜?」
「!!!!!!!」
「あの、大佐?」
ローズさんが心配そうに問い掛ける。私は救われた思いでローズさんの後ろにササッと避難した。
「あぁ…失礼。ティアさんが今仰ったとおり漆黒の翼らしき盗賊はキムラスカ王国方面へ先ほど逃走しました」
ジェイドが2人の身を保証した。でも疑わしそうと思われているのには変わりなさそうだ。……もしかして、もう彼らが第七音素を放出した、と考えているのか…。ふとそんな事を考えていると、扉から誰かが入ってきた。