私はただの変哲のない大学生だった。


友達がいて、家族がいて、恋人が欲しくて、遊んで勉強してバイトして………。そんな何処にでも居るような人間だった。つまらない人生、変わらない日常。窮屈な人間関係…。笑って泣いて悩んで怒って戸惑う――――。


それがいつの間にか、本当にいつの間にか生まれたばかりの赤ちゃんとして、この音素を主とする世界――オールドラントで生きていたのだった。意識がはっきりした頃、私は預言を詠んでもらった。


「この赤子は…ユリアの再来!見通す者だ!」


それを聞いたダアトのローレライ教団は私を両親から奪った。のちに聞いた話だが、両親はその後すぐに亡くなったらしい。あまりこちらの親には執着はないが、あまりいい気はしなかった。


教団の最深にある警備の厳しい部屋に押し込められ、そこでほとんどを過ごした。教養、導師の術、第七音素を含む譜術を最低限度だけ習った。大詠師たちは私が教団を裏切ったり、逃亡することを一番恐れている、からだと思う。


特に大詠師モースは私をただの道具としてしか見ていないし、他の人たちも私をユリアと認識して尊敬し、恐れている。私自身を見てくれる人は、あまり居なかった。

イオンを除いては…。


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