「美々っ!」
「ツナ、今日は一緒に帰れるの?」
「うん、獄寺君と山本撒いてきたから大丈夫!」
ニコニコと微笑みながらそっと私の手を取って教室の扉を開け、廊下に出た。…これがあの、ツナだなんて…ほんとに変わったな。前はすぐに泣いちゃうくらい弱くて、女の子っぽくて、…………たくやお兄ちゃんと私の後ろばっかり付いてきた子だったのに。
今じゃ私より大きくて、ふわふわ笑って、頼りになる男、に成長していた。時折見せる憂いをおびた表情、あどけない仕草、今では全てが愛しい。
私たちは帰る前にいつも寄るところがあった。図書室は静かで、あまり人が来ないから2人だけの時間を楽しめる。
私たちだけの空間で、私を膝の上にちょこんと乗っけて彼はそっと私を抱き寄せる。すぐに真っ赤になる私を可愛い可愛い、とおちょくるツナ。…なんか、ズルい。ツナばっかり余裕で、私だけドキドキしちゃうなんて。
――――ちう。
不意打ちにほっぺたにキスをしてみる。
「え、えっ、な、…えっ!」
右頬に手を当てて、耳まで真っ赤にする綱吉がいた。―勝った、にんまり私は笑ってぎゅっと背中に手を回した。
負けたなあ、とクスクス笑うツナ。こんな日常がいつの間にか当たり前になっていた。ずっと続くと思っていた、5月の夕方。