私はその後の事は覚えていない。気を失っていたようだ。クラクラする頭を押さえつけながら重い身体を起こす。広い寝室にポツンと置いてあるキングサイズのベッドに寝ていたようだ。服がいつの間にか白い丈の短いワンピースになっている。………また白。
「最悪、」
「あ、おはよー真白」
扉が開き兄さんが入ってきた。手には大好物のマシュマロ。もぐもぐと食べながら私の横に座った。
「真白の世話はね、レオ君に任せる事にしたんだー。だから今紹介するね?」
「………」
パチンと指を鳴らすと再び扉が開き、カフェに来たレオ君と呼ばれた青年が姿を現した。気弱そうな、上司に逆らえないような雰囲気の強い男だった。
「初めまして真白様。自分は真白様のお世話を担当します第6ムゲット隊に配属されたレオナルド・リッピF級です」
「………どうも、」
言っている事は半分も分からない、仕方なくチラリとレオナルド―――レオ君を見てみると、一瞬右の瞳が赤くなった。
「!」
「ど、どうかなさいましたか…?」
オドオドと私と兄さんの顔色をうかがいながらも私の一瞬の動揺を見抜いたようだ。私はただ右目をジッと見つめてみた。……気のせい?ううん、そんなわけない。もしかして――――。でもすぐ傍にはアイツが、兄がいる。私は枕に顔を押し付けて何も言わなかった。ただ、一言。
「…チョコクッキー」
「わ、かりました!今すぐ用意いたします」
慌ててレオ君は出ていった。部屋には私と、兄さんだけ。白い髪を撫でながら私に話しかけてきた。
「やっと戻ってきた僕の真白…」
「…」
「これから離れてた分含めて、たっぷり愛し合おうね?」
「……っ、」
急に私の上に乗り覆い被さる。顔を上げない私に苛ついたのか、顔を近付けてねっちょりと私の耳をなぞる兄の舌。昔と同じ…、無理矢理教えられた快感が身体を駆け抜ける。
「い、ゃ……」
「真白……」
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