「…負け、ました…っ」
「あり、がとう、ございました…」
乱れた息を整えながら私は勝利したんだと笑みを噛み隠した。アテネたちはもう匣に戻っている。そちらもアテネが勝ったようだ。バジルさんは悔しそうに地面を睨みつけていた。
「……まだまだ、修業が足りなかったようです」
「そんな事ないです。バジルさんは強かった―――」
「真白殿より何年も長く親方様から手ほどきを受けていたのに!おぬしは軽々と拙者に勝った!そんな事言われたくありません!」
拙者では役不足、真白殿の家庭教師を降ります。そう言ってバジルさんは私が言葉を発する前に何処かへ行ってしまった。
* * *
「あの、リボーンちゃん、私の家庭教師に――」
「残念だが断る」
いつもの作戦室にやっぱりリボーンちゃんはいた。優雅にエスプレッソを飲みながらこちらをジッと見つめる。
「でも、バジルさんはもう家庭教師を降りるって…」
「おめーはたしかに強いかもしんねー、でもバジルに勝ったのは力ずくであって、あいつみてーな戦いへの柔軟性はない、それを真白は習わなきゃなんねーんだ」
思わず目を逸らしてしまった。そっか、私はそんな意図も知らずに力ずくで無理矢理勝っていたようだ。それじゃあ意味がない、またバジルさんに修業してもらわなきゃ。私はバジルさんを探しに行くことにした。
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