「お前が真白か?俺はツナの兄貴分のディーノだ。よろしくな!」
「(ま、眩しい…)よ、よろしくお願いします」
キャバッローネファミリーというマフィアのボス、ディーノさんに付き添ってもらって、私はフランスへまた戻っていった。そういえば、パスポートとかも使わずに違法で、フランスからイタリアの沢田さんのアジトに行ってからまたフランスに戻ってるんだ……。ちょっとマフィアな感じ、かな。沢田さんの自家用ジェットに乗りながら今更そんな事に気付いた。
少ししてから小さな離陸場に着陸した。車が用意してあって、ディーノさんと、部下のロマーリオさんと乗り込む。
ありきたりな話をしていると、どうやら目的地についたようで、車が止まった。外を見ると、前まで住んでいたような、似た雰囲気の町だった。
「俺らができるのはここまでだ。頑張れよ真白!」
「ありがとう、ディーノさん」
「あんま関わると逆にバレるから電話番号とかも教えらんねぇんだ。…悪いな」
「そ、そんな!ここまでしてもらって…逆に私の方が………」
「いーんだよ嬢ちゃん。ボスがただ連絡先を知りたいだ―――――」
「ろろろロマーリオっ!」
慌ててロマーリオさんの口をふさぐディーノさん、少し笑ってしまった。ペコリとお辞儀をして、私は言われたアパートへと向かおうとした。
「あ!真白っ!」
「?」
「………頑張れよ」
くしゃり、と撫でられる頭。………温かい。
それから1年は安全に暮らす事ができた。
彼が、兄さんが来るまでは…。
(…………ツナのあんな顔、久しぶりに見たな…)
(ボス………)
|