信じられなかった。本当に、信じられなかった。昨日聞かされたタイムトラベル、なんて夢のまた夢の話すぎる。
寝ぼけたまま私は充てられた部屋で草壁さんが運んでくれた朝食を食べた。和食、は初めてだったけど美味だった。10年前の沢田さんにはミルフィオーレの奇襲作戦を終えてから会わせてくれるそうだ。だから残りの3日間、私は草壁さん立ち会いの元、匣兵器について学び、体術を特訓する事になった。
「…匣のルーツって、偶然だったんですね」
「ええ、我々はそれを解明するべく、世界を飛び回っています」
「地下財団って…」
「(…)…それでは真白さんの匣を開匣してみましょうか」
「はい!」
私はリングに炎を灯し、匣に注入した。中から―――――
「メスの……ライオン?」
「天空ライオン(レオネ・デイ・チエーリ)ですね。…珍しいものです」
この匣は草壁さんに聞いたところによると、沢田さんが用意してくれたもので合っているようだ。見覚えがあるらしい。私はそっと撫でてみた。ゴロゴロと鳴いてとても可愛い…っ。ぎゅっと抱き締めてみた。
「とても懐かれてますね」
「名前……何にしましょうか」
沢田"綱吉"さんから戴いたからマグロちゃんなんてどうでしょうか?そう冗談で言ったら本気で止めて下さいと強烈なくらい説得された(…)。色々考えてアテネ、と名付けた。ギリシャ神話の女神の名前だ。
「アテネ、よろしくね?」
ガオ、ととても頼もしかった。奇襲作戦の前日だった。
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