骸さんは来なかった。何かあったのだろうか…。嫌な予感がする。真白は辺りを見回しながらロビーに座ってコーヒーを飲んでいた。銃はもう捨ててある。後30分したら搭乗時間になる。それなのに……、でもきっともう来ないだろう。そういえば、とメモを見る。日本に着いたら並盛という町の神社に行けと書いてあった。後は空港から並盛までの行き方だった。―――どうやらボンゴレのアジトがあるようだ。

そんな事を考えていると搭乗時間を知らせるアナウンスがなり、飛行機に乗り込んだ。兄さんの部下が探しに来たらどうしようかとハラハラしつつもそのまま何事もなく飛行機は空へと飛び上がった。離陸すると大きな建物が見えた。…………数時間前まで居たビル。無理矢理目を瞑り見ないようにした。なんだか兄さんと目が合っているような感覚がするからだ。



それからは簡単だった。朝に日本に着いてバスや電車をのりつぎ、並盛までやってきた。ホテルに休憩を含めて泊まろうかと思ったけど、バレそうな気がして止めた。並盛には町に似合わず黒ずくめの人が何人か居る……これはステルスリングを使った方がよさそうだ。なんとか地図とにらめっこし、メモに書かれていた並盛神社についた。

マモンチェーンを巻き付けながら簡単すぎたかな、と不安になった。脱出してから1日と少し経過していた。

「……ここから、どうすればいいの?」


縁側にすわりボーッとしてみた。嘘のようだった。私は逃げれられたのだ。でも、白蘭兄さんは実の兄、だから少しは寂しくもある。溜め息をつくと目の前に黒い靴が見えた。まさか!顔を上げるとつり目の麗しい男の人が立っていた。…まさか、もう見つかったの!?足音に気付かないなんて…っ!慌てて立ち上がって逃げようとすると、腕を掴まれた。……ここは知らない振り!


「あ、何か、用ですか?」

「……………君が、真白?僕は雲雀恭弥、沢田綱吉と同じボンゴレの1人だよ」


味方…………、よろよろとその場に座り込む私に合わせるように腰を落とす雲雀さん。頭には黄色い鳥さん。


「腰でも抜けたのかい、全く…。…ほら、行くよ」

「あ、あの…何処へ?」

「僕のアジトだよ」


引っ張り立たせてもらい、秘密の入口である灯篭の所から和風な部屋がたくさんある空間へと通された。………これって。


「ワビサビ!」

「黙らないと咬み殺すよ」


素晴らしく殺気とトンファーが飛び出てきてもう少しでヒットする所だった。とりあえず持ち前の運動神経でかわした。すると思った以上に上手く避けきれた。びっくりする私の目の前でワオ、と嬉しそうに口元を綻ばせる雲雀さん。するとそこへリーゼントの男の人がお茶を持ってきた。…。


「恭さん、真白さんどうぞ…」

「哲、この事は沢田側まだ黙っておいて」

「へい、分かりました」

「…………え、沢田って…綱吉さん?」


嗚呼君は知らなかったよね、と雲雀さんは私にあり得ない話をしてくれた。過去から若き沢田綱吉率いるボンゴレファミリーが来ている事を。



(奇襲作戦4日前)


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